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Live in Paris 1975 / DEEP PURPLE
失恋船長 ★★★ (2020-12-15 15:31:18)
バンド脱退を決めたリッチー・ブラックモア。この時期のラインナップは相当、人間関係に軋轢があったろう。それでなくともリハーサル嫌いのリッチーなのだから、今作における準備はいかほどだったのかと興味は尽きない。オープニングからサウンドチェックを入れたりと、不安な気持ちにもなるが、同時に妙に生々しい緊張感が漂い今作の成り立ちを含め、期待感を煽る。結論から言えば、リッチーはバンドに対する情熱が失われていたと感じる、しかし、そういう中でも第三期時代の曲を意外なほど真面目に取り組み、けして親指一本でプレイするなどの皮肉を感じることのない、やる気を見せており、前評判ほどの不満を感じることなく大いに楽しみました。何と言ってもこの時代のライブは貴重ですからね。ましてや、脱退を決めたラストステージとなれば、尚更の事です。
手直しなしのノーカット版、その意味合いは大きい。ふてくされ気味と言われるリッチーの天邪鬼ぶりをサポートする、イアン・ペイスのドラムも素晴らしいサポートぶりを披露、彼が決まらなければ、今作はもっとグダグダなものとなっていたろう。隙あらば前に出てくる、グレンの存在感強めも、ミックスのバランスを取り、ギターを前に出したので聴き易くなっているのも好印象。
ギタークラッシュもあるんだけど、実は第二期の曲の方が、リッチーの粗さが目立ったりと意外な形になっているのも面白い。ギランよりもグレンのワタクシにとっては、無問題なのだが、やはり二人のシンガーも、少々、リスペクトに欠けていると言われると、そう思わずにはいられないのだが、怒気を孕み歌い込むラストのHIGHWAY STARも、これはこれでありだろう。ミスを含め、生々しいプレイの数々は、リアル実況ライブ盤としての在り方としては大正解だと思う。こういうテイクを聴けるの逆に新鮮、二人のシンガーの抜き差しならぬ関係性も、実に興奮状態を演出しているだろう。ソウルフルに変貌していくバンドの姿を克明に描いていますね。
グレンが吠えればカヴァーディルも牙を剥く、かつては形無しだったカヴァーディルだが成長しましたね。
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