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Звёзды И Кресты / Кипелов(KIPELOV)
失恋船長 ★★★ (2021-01-03 16:27:07)
知る人ぞ知るロシアのメタルシーンを代表するバンドARIAのフロントマンだったヴァレリー・キプロフのソロバンドの3枚目。2002年から活動しているのでコンスタントとは言い難いが、合い間にライブアルバムを2枚挟んだり、コンピ作を出したりとロシアあるあるがあるので、ご無沙汰感は少なめだが、それでも待ちに待った待望の新作と言えるだろう。
衰え知らずの艶のある歌声を軸に、時代遅れと言われそうなトラディショナルサウンドを引っ提げ、期待通りの作風を提示してくれた。勿論、現代的なエッセンスは無視していないし、テクノロジーの恩恵はロシアにも届いており、かつてのような脆弱な音質とは無縁のサウンドを轟かせている。
少々ミックス的には、歌モノバリにキプロフの歌声強めとなっているが、癖が強めのメロディラインを絶妙な感性で押さえ込みワールドワイドな作風に終始している。ロシアの風は吹いているかも知れないが、ARIA時代から比べると、ソロではより洗練されたスタイルで勝負を賭けているようだ。
正統性の強いメタルナンバーはメリハリが効いており、その筋のマニアなら満足すること間違いなし、高いドラマ性を有する大作ナンバー⑩も放り込み、正統派メタル一代抒情詩を描き切っています。
それ故に、真新しい解釈を求めるメタルマニアには退屈に映るかもしれませんが、スタンダードなメタルが大好物な方ならトライして欲しい一品です。ここまで、実直にやり切り、なおかつ一線級のクオリティでありながら、ロシアというだけで知られていないバンドですからね。初見の方なら、さぞや完成度の高さに驚くでしょう。
ロシアのメタル界を代表するヴォーカルが才能あふれるアーティストを引っ提げ、活動しているのだから外れは掴ませませんよ。

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