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QR III / QUIET RIOT
火薬バカ一代 ★★★ (2021-01-11 23:16:48)
ケヴィン・ダブロウ(Vo)のビッグマウスぶりが人々の鼻につき始めたのか、はたまた次々にデビューを飾るBON JOVI、DEF LEPPERDといった若くてイキのいい新人バンドに話題を奪われるようになったためか、ともかくウルトラ・セールスを記録したデビュー作以降はアルバムの売上枚数の下降に歯止めを掛けられずにいた(今にして思えば十分立派な成績なんですけどね)QUIET RIOTが、勝負作として’86年に放った3rdアルバム。
笑っちゃうぐらい1stアルバムの作風を踏襲していた前作に比べ、本作ではエッジを削って丸みを帯びた音作りの下、Keyとボーカル・ハーモニーのフィーチュア度を各段に上げた、メロディアスHR路線へと一気に傾斜したサウンドを披露。筋の取れた伸びやかな歌唱を心掛けるケヴィンのVoといい、派手さは抑えて楽曲を引き立てることに注力するカルロス・カヴァーゾのGプレイといい、全体的にバンドとしての成熟を感じさせる仕上がりで、QUIET RIOTの名を聞いて想起する底抜けに明るい溌剌としたHMサウンドとは隔たりはあるものの、ことメロディの魅力に関して言えば前2作を完全に凌駕。シンセによるイントロが新鮮な空気を運んでくるQR版“JUMP”チックな①、哀愁漂う②、ケヴィンの優れたシンガーとしてのポテンシャルが十全に発揮された感動的なバラード⑦等々…。中でもスタン・ブッシュとバンドの共作曲⑩は個人的にアルバムのハイライトに推したい名曲ですよ。実はこの曲目当てで本作を購入したぐらいでして。
結局セールス的に失敗しケヴィン脱退の引き金となった本作ですが、内容の充実ぶりからすれば、試合には負けたかもしれないが勝負には勝った!と言える1枚ではないでしょうか。
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