この曲を聴け!
Юдоль скорби / PATH(Путь)
kamiko! ★★★ (2021-02-19 15:57:41)
ロシア産シンフォニックブラック2020年作
5曲入りEP、フルレングスアルバムではないから少々物足りなさはあるが、素晴らしい作品だ。
前作Песни смерти (2018年)は、オーソドックスなシンフォニックブラックスタイルが基本でありながら、アコーディオンが登場した途端に
独自の世界に一変する作風がかなりツボにハマった。楽曲が若干弱いかなと感じつつも、唯一無二の独創性と寒冷地の叙情と危険臭に魅入られた。
今作は荒涼とした草原と馬車、遠くの夕焼け、上空の闇夜にカラスが飛び交うジャケが素晴らしく、荒廃的で死臭が漂う感じがこの音楽性にジャストフィットだ。
前作同様にアコーディオンが大胆に導入されている。絶妙な歪みのギターとアコーディオンのハーモニーが、荒涼とした大地と田舎臭さを醸し出し
更に、ブラックスタイルにとどまらないアコースティックギターが絡むと、非情に濃いカルト臭・死臭が漂ってくる。
前作で若干感じた楽曲の弱さは無く、完成度が高い。不穏な響きを奏でるコードワーク、練られたリフ、語り口調のヴォイスの導入など、随所に工夫が見られる。
単に森林を思わせるブラックは多いが、それにとどまらず、攻撃性が強めでありながら、叙情と死臭が感じられる作風はこのバンド特有の世界観だ。
激しさがあるものの、サタニックブラックで良く感じられる誇張された魔性やわざとらしさ、コマーシャルな感じの凄みが感じられず、自然体なところが良い。
コレは今後のフルレングスアルバムに相当期待してしまう。前作と併せて猛烈にオススメしたい盤だ。
→同意