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Fracmont / MESSIAH
kamiko! ★★★ (2021-02-26 11:49:49)
スイス産スラッシュメタル2020年作
昨年末に発見し、再結成モノで最も衝撃的だった作品。随分前に解散した筈だったが、前作のメンバーが結集して新作を出すとは思っていなかった。
ライヴ盤やEPを除けば、実にUNDERGROUND (1994年)以来、26年ぶりのフルレングスアルバムじゃないかな。
地元スイスで絶大な人気があったようだが、ここでも書き込みを見ても、MESSIAHはマニアご用達で日本ではあまりに無名な様子。
知名度が低くコレクターアイテムとしてただ持っておきたいという類いのバンドではなく、魅力のある特有の味わいが楽しめることをもっと広めたいところだ。
この盤発表直前に3曲入りEP「Fatal Grotesque Symbols ⸗ Darken Universe」が発表されており、新曲1曲以外は、看板曲かつ迷曲Space Invadersと
ホッキョクグマサウンドExtreme Cold Weatherが最新の音響で録り直しされており、後期作品からのチョイスは無い。このEPからは、後期作品の硬派な魅力よりも
Extreme Cold Weather時代の独自性を志向しているのかと思わせる。今回の新作は、後期作品の硬派なギターの音質から繰り出されるリフといった魅力が影を潜めて
中音域から高音域を際立たせ、深めの残響音を効かせる初期作品の音響に回帰したと思わせる。オーソドックスで真面目な後期作品の音響的魅力を代償とし
レアで独創性豊かな音響を選択したことは好みが分かれる点で、とてもリスキーな選択だろうと思う。当然当時の録音状態から飛躍的にクオリティがアップしている。
初期と後期は別の味わいがあり、どちらも捨てがたいところだが、ボクとしてはオンリーワンな個性である初期のエクストリームな感触が蘇ったことに拍手を贈りたい。
後期作品に一貫していたMESSIAH(救世主)に相応しいテーマの楽曲群であることが素晴らしい。曲中には神聖さを醸し出すシンセサウンドが挿入されており
爆発的な演奏との対比は、このサウンドの救世主的世界観を想像させる。テンション高めなリフ、突発的にスピードアップし滅茶苦茶に掻き毟る感じは
元来MESSIAHが持っていた固有の魅力であり、その魅力は全く失われることなく、むしろ最大限に発揮されている。
今回のジャケ、ローブを纏った血塗れの男が描かれている。当初このブラッディなジャケに違和感を感じていたが、ここ3ヶ月くらいこの作品を堪能して改めて見ると
背景の山岳には鷹が飛び交い、救世主であるローブの男が何故か水たまりで腰まで水に浸かっているシチュエーションがむしろ面白く、趣きを感じさせる。
CDケースサイズ×9の大きさのポスターが同梱されているが、壁に貼るかどうか悩ましいところだ。血塗れじゃなければ玄関先に飾ってもいいんだけどな。

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