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Free Spirit / KEN HENSLEY
失恋船長(2021-02-28 19:29:44)
HEEPを去ったケン・ヘンズレー、何かに追われるようにリリースされたソロなのだが、これが困惑するような内容になってしまった。英国的なフォーキー路線だったゼ前2作とは路線をガラリと変えAOR調の歌モノスタイルへと舵を切っている。
特にオープニングナンバーなどディスコタッチのナンバーなので驚く、続く②も2分半と短い歌モノサウンドに驚く、ドリーミーなHEEP風味もあるが、戸惑いは隠せない。
何の予備知識もなく聴けば、これがケンのソロとは思えないような、オシャレAORロックになってしまった違和感は今もってなくならないが、イアン・ペイスが叩いている⑥はハードなスタイルをキープ、オシャレ感と枯れたギターもマッチしており、盛り返している。バラード系も機能しているが、ケンの歌声はパンチに欠け、一番出て欲しいところで苦しそうに唄ってしまう、ポップなロックナンバーの⑧などでは、彼の歌唱力不足は顕著に感じるだろう。
イングヴェイ同様、何でも自分でやりたい人なので、理解はしているのだが、勿体ないと思わせる瞬間が多く訪れる。
リズムセクション以外はケンが担当、ギターもサイドとしてはイイが、リードとなると弱い、教則本のようなフレーズも多く、アルバムの性質に大きく起因している。
ムーディーな⑨やポップロック等は、ジョン・ロートン辺りが唄えば凄い事になるのになぁと、本当に臍を嚙むアルバムですね。
全10曲、32分のランニングタイムが示すように、ラジオを始めとしたメディア展開も視野に入れた売れ線志向です、それだけに重厚なケン・ヘンズレースタイルは望めませんが、歌モノロックがイケる口ならば、楽しめる曲も多いでしょう。
そういうアルバムなのでお気楽な⑩でクローズするのですね。
これが売れたら、続編あったのかと、今となってはゾッとする思いですが、サブスクの方は気兼ねなく楽しんでください。

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