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今週のアルバム10選
失恋船長 (2021-03-25 19:24:14)
『俺の様式美』

①Ebony Eyes『Hard Rock Renaissance』
リリースは1991年、当時としても古臭いコテコテの様式美メタルを披露。インディーズ故の悲しき音質の酷さ、薄っぺらい迫力不足のサウンドに残念な気持ちを味わうが、咽かえる濃厚様式美臭を嗅がされるとフラフラと足元もおぼつき、気が付けば暖簾を潜らせるブランド力が、このバンドの出している音にはあった。
欠点を上げればきりもない。それよりも美点を見つけ楽しむ性分故に散財もするのだが、愛して止まない大好きな世界観が詰まっています。クドイくらいが丁度良いと猛烈に思わせるツインリードも、もう受け入れるしかありません。
今でも定期的に手を出しますが、これ聴いたあとの反動は大きい。やはり音質は重要だ。そしてコンパクトに纏めるアレンジも重要。感性をリセットするために猛烈な勢いでメジャーレコードリリースの商品に手を出しますよね。




②Wolf 『Some Aspects Of The Moment』
ウルフ唯一のフルアルバム。今となっては再発も絶望的な状況にあるマニアにとっては喉から手が出るほど魅力的な一枚。伸びやかでマイルドな歌声を駆使する松本龍似の確かなパフォーマンス力を頂点に、テクニカルなアンサンブルが多様な楽曲に対して的確にアプローチを行い聴き手を楽しませてくれる。
黒木のスピーディーなギターに注目を集まるが、タイトなスケジュールと思わせるレコーディング環境の中、確かな腕を披露するドラムの堀江睦男とベースの西川健の二人のプレイを忘れる事は出来ませんね。
フックのある魅力的なメロディ、日本人好みの叙情派スタイルとメジャー感を加味させた今作は、様式美マニア以外にも訴求するだけに魅力がある。



③Breeze Least『Breeze Least』
群馬県に中世ヨーロッパのお城を築城させた様式美バンド。かなり厳しい状態でのレコーディングとなっているが、彼等が目指す芸術性が大爆発。問答無用のフーガロックが眼前に繰り広げられ、ワタクシは剣を片手に甲冑に身を包み、馬を引けあの丘を越えるぞと千鳥の漫才のネタの一説を披露したくなります。アルバムを視聴後の満足感と、同時に訪れる渇望感、もっとやれたバンドだと思う。



④Saber Tiger『Rise』
1981年から活動する古参メタルバンドが1986年にリリースしたEP。後にParagraphなるコンピ作に収録されCD化もされましたが、このEPがリリースされた時は、本当に聴きまくりましたね。
下手な歌を聴いているなぁとか周りから、軽く馬鹿にされたりもしましたが、この燃え上がる情念、まさにワタクシの大好物なメタルが堪能できる一枚。今聴けば古臭いし、妙に生活感のある歌詞だったりするのだが、そういう諸々を超えて、名曲MABOROSHIは生涯愛する一曲です。パンキッシュなBraek Downも高揚感のあるJealousyも好きだったなぁ。
免疫が付けば実に味のある歌でもある。それもこれも演奏がしっかりしているから楽しめるのですがね。
でもメロディ派ではあるが、様式美系とは言えませんが、自らの型を持つバンドという事でそう押し込みます。



⑤Mell Rose『Slight Difference』
脆弱なサウンドプロダクション、猛烈な自主制作臭に勘弁してくれと思います。演奏も下手です。あらゆる面でやり直しの指示を下したいのですが、歌謡テイスト満載のヘナチョコロックを猛烈に聴きたくなります。
上手い下手や好き嫌いを超越して聴きたくなるマニアの性、ワタクシは、どんなに悪態をついても嫌いになれません。途中で、なんでもこんなもんを聴いているのだ、俺はいつ金を出して買ったんだ、幾らだった?色んな感情が渦巻く一枚。
メタル禅問答。戦え何を人生を!これを聴くと贅沢言ってられないなぁといつだって気合いを入れ直します。年に1回は通して必ず聴きます。愛すべき様式美があるからです。

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