この曲を聴け! 

Nantucket Sleighride / MOUNTAIN
失恋船長 ★★★ (2021-04-03 18:35:07)
ある一定の世代の人ならば、ギターをマスターする過程で、必ずポール・コゾフやアラン・ホールズワース、そしてレズリー・ウエスト等は避けては通れないマスターピースだったろう。
マイケル・シェンカーに通ずる泣きのギター、そりゃレズリーがお師匠さんなんだから、類似性があって当然となるわけです。若い人で、なかなかマウンテンというバンドに繋がりづらいでしょうが、ギターを志す気持ちがあれば、一度はトライして欲しいバンドでありアーティストです。
そして何よりも、古典ロックの凄みを体感したい人にはマストなアルバムだと断言したいですよね。
アメリカンロックの良心とも言えるエモーションと泣かせのフレーズ。このバンドがR&Bやソウルだけのエッセンスで終わらないのはプロデューサーであり、ベースとして参加するフェリックス・パパラルディの影響にもよるのだろうが、そういう理論的なものなど関係なく魂に訴えかけるフレーズとエモーションなプレイを心行くまで堪能できる。
しかもハードな調べを基調としているのだから、ロックファンにとっては避けては通れないアルバムだと思いますよ。粘りっこいギターは哀愁を纏いながらも熱量を放出、そのスリルとエキサイトメントをフォローしつつも、泣かせ具合があるのだから恐れ入る。
バンドサウンドの根幹たるギターに負けないベースの存在感、そして丁々発止なギターとベースの合間を縫うように美味しいフレーズを叩き出すドラム、鍵盤プレイは空間を広げ、このロック一代抒情詩の世界観をより深いものに演出。演者が無駄なく一体感を出すことで、バンド特有のスリルと味わいを膨らませている。
レズリーのギターは素晴らしい、これだけ弾ければゴリ押しのプレイの一つも挟めたくなるが、彼は、バンドの一員となり主役を務めあげている。
70年代のバンドという事でブルース臭も強めと考えている若い人にとっては、思いのほかザラついていない清々しいさがあって驚くでしょうね。でも骨太なロックサウンドの魅力は損なわれていません。その妙味が今作にはあります。
島国感情を持つ日本人には、この哀愁が忘れられないんですよね。無頼なロックに注入された泣かせのメロディ。そこに感情が大きく揺さぶられます。

→同意