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Hot Tonight / LIONHEART
火薬バカ一代 ★★ (2008-03-12 22:11:00)
個人的にデニス・ストラットン(G)と言えば、現PRAYING MANTISのメンバーで、叙情的なHRサウンドが持ち味のバンドに、
隙あらばアメリカン・ロック・テイストを持ち込もうとする困った人、ってなイメージがあったのだが、そんなネガティブな
印象は、このLIONHEARTの'84年発表のデビュー作を聴いたら、綺麗サッパリ吹き飛んでしまった。
元々、生来のアメリカン・ロック嗜好が原因でスティーヴ・ハリスと対立、IRON MAIDENを去る羽目になったぐらいの人ゆえ、
そんな彼がイニシアチブを握って制作された本作は、NWOBHMや元メイデンといった肩書きや、勇ましいバンド名から
HM然としたノリを期待すると、大いに肩透かしを食らう事になる、ボーカル・ハーモニーとKey、そしてキラキラと眩い
アレンジをふんだんに取り入れた、ポップ且つキャッチーな産業ロック路線寄りの内容に仕上がっている。
また、↑で別の方が仰られている通り、PRAYING MANTISっぽい要素も散見されるので、
そういう意味では彼のマンティス加入は必然だったのかな、と。
本作において特筆すべきは、チャド・ブラウン(Vo)の絶品の歌唱力で、憂いを帯びたソウルフルなその歌声は、
ただ正確に音程をなぞるだけでは説得力が出せない、⑤のようなノリの楽曲すら、余裕で歌いこなす真の実力派。
これだけのシンガーが、その後パッとしたキャリアを築けなかったのは、何とも勿体無い話だ。そして勿論、メロディ重視の
心地良いGプレイを聴かせるデニスも、非常に優れた仕事をしている事は言うまでもない。
とりあえずメロハー・マニアは、サックスの哀愁の調べが胸に沁みる洗練されたHRチューン①と、
ポップでキャッチー、且つ叙情的な③という2つの名曲を聴くためだけにでも、本作を買ってください。

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