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Pound for Pound / ANVIL
失恋船長 ★★★ (2021-05-01 13:00:33)
間口を広げた前作の不評を受け、求められるガチムチのパワフル路線に面舵一杯した5枚目のフルアルバム。そのかいあって初期の猛々しい猪突猛進型のパワー/スピードHM/HR路線に戻ってきた。
その反面、少々堅苦しい印象を受けてしまい、いい意味での遊びと言うのかキャッチーさが減退したのは残念。しかし、問答無用のアンヴィル節の復権は、その筋のマニアにはウケが良く前作の不評をひっくり返すだけの勢いを取り戻したのは間違いない。
経験と新しい感性が融合した前作を経てリリースされた今作は、実に順当な形で彼等流儀のスタイルを構築する事となった。変革を求めない岩盤層を持つバンドが直面する難儀な課題。この辺りがアンヴィルを苦しめる事になるのかもしれない。いずれにしろ、今作で聴けるサウンドは、今現在も脈々と連なる作風である。

アンヴィルと言うバンドに漂う前座レスラー感、ある意味は国際プロレスのメインマッチのような小粒感。子供の頃に見た、グレート小鹿と大熊元司の前座試合を思い出す。ボディスラムに、ヘッドロック、ロープに振ってからの水平チョップ、観客の反応を見ながら、観客を煽る姿は実に不器用だが、迫力があった。
でも、よく考えると何故二人のシングルマッチだったのだろう?極悪コンビじゃなかったの?そんな古めかしい小学生の思い出を呼び起こす無頼なサウンドが詰まっている。

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