この曲を聴け!
This Is Thirteen / ANVIL
失恋船長 ★★★ (2021-05-02 13:08:34)
映画人気もあり、セールス的にも評価も一定の成績を収めた一枚。苦節云十年の苦労が報われた一枚でもある。それまでリリースしてきたアルバムよりも格段にサウンドプロダクションが良い。テクノロジーもあるのだろうが、クリス・タンガリーディスの仕事っぷりを褒めるべきであろう。とにかく迫力のあるアンヴィルサウンドが戻ってきた印象が強い。
映画を見ている人ならご存じだろうが、今作リリース当時は、どのレコード会社からも相手にされず自主制作として手売り状態となったのには、本当に驚いている。名手クリス・タンガリーディスの威光も通じない現状に、こちらも打ちのめされました。
後年、映画の影響で売れたのは本当に嬉しいのですが、この現代的な要素もアンヴィルなりに盛り込んだタフな作風が、今まで同様、ほとんど知られる事無く埋もれるのはシーンにとっても良いことではないですからね。
相変わらず不愛想です。パワフルかつエネルギッシュなサウンドもある。見た目以上にシリアスである。そういう要素がどっちに働くかで評価も大きく変わるだろうが、映画の後に聴くと随分と景色が変わるだろう。
個人的にはもっとストレートなスピードナンバーが欲しかった。13曲もあるんだからではあるが、④みたいなロックンロールナンバーがあれば、顔も綻びホッとさせられます。だから⑤もすんなり入ってくると言うものですよ。
近年になかった剛毅な中にあるメジャー感。10年以上過ぎた今の耳で聴けば、アンヴィルなりに時代を意識していたことも伺える。きっとクリスのアイデアなのだろう。そういう意味でも、誇り高きアンヴィルメタルの系譜に連なる一枚として燦然と輝くでしょうね。
でも9曲くらいに絞ってくれた方が聴き易かったのも間違いない。
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