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Lords of Sin / Anthems / WITCHFYNDE
火薬バカ一代 ★★ (2021-05-13 00:18:23)
アフロ頭にコワモテの顔面力で睨みを効かせてくるオッサンのジャケット(ひっくり返しても別の顔に見えるトリックアートかと思ったら違った)が目印の、WITCHFYNDEが'84年に発表した4thアルバム。なおLP発売当時は、ヨーロッパ・ツアーのライブ音源4曲も収録された2枚組仕様でのリリースだったという。
不気味なイントロに導かれて幕が上がる本編ですが、オドロオドロしいアートワークや「NWOBHM」「オカルト」「サタニック」といったWITCHFYNDEについて回るキーワードに惹かれて手を出したリスナーに肩透かしを食らわせる、軽くはないが特段ヘヴィというわけではなく、スローじゃないけどかと言ってスピーディでもないという、シンプルで飾り気のない中庸なHRサウンドは今作でも健在。曲調は重厚ながら新Voの声質もメロディの響きも妙に明るいOPナンバー①が早速物語る通り、ドゥーミーなダークネスを求める向きには不完全燃焼感が半端ない本作なれど、例えポップなノリの楽曲を演っても明るくはなりきれない、精一杯陽キャを気取ってはみたけれど、ふと我に返って溜息をついてしまう感じにこそ、個人的には「ああ、英国メタルっぺー」と妙に惹かれてしまうわけでして。
Gソロ含め正調NWOBHMといった趣きで駆け抜ける②、ライブではコール&レスポンスが盛り上がりそうな③、タイトルと裏腹なアゲアゲ疾走チューン⑦辺りは特にお気に入り度高し。ラストは憂いを湛えた重厚なメドレー⑧⑨(さりげなくOPナンバーと対になるアレンジが施されている)で劇的に締め括ってくれるのも嬉しいじゃありませんか。
先入観を抜きにすれば十分「NWOBHMの良盤」として楽しめる1枚です。
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