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The First Album / WILD HORSES
失恋船長 ★★★ (2021-06-14 19:43:21)
遺恨を残してバンドを去ったとワイドショー並みの話題を提供したブライアン・ロバートソンと元RAINBOWのジミー・ベインが合流することで結成されたバンドのデビュー作。
THIN LIZZYにも通ずるポップセンスと哀愁のメロディを武器に割かし馴染みやすいサウンドを披露。オープニングの①こそヘヴィな音像で迫るが、②からリジィ節も作れる、ロマン溢れるバラード④ときてバンドの方向性も見えてきましたが、軽快なロックンロールスタイルと、垢抜けない英国風味を強く打ち出し各メンバーのバックボーンも無理なく投影した、実にオーセンティックなハードスタイルで勝負、勢い重視のNWOBHM勢に対して、ベテランの駆け引きの上手さと言うのか、引き出しの豊富さを魅せた形になったでしょうね。
古典ハードロックとして矜持といったところなのでしょうが、英国的なロックスタイルが強く打ち出されており、NWOBHMの枠組みに放り込むには無理があるでしょうね。ギターもブルース過ぎるしね。

90年代の中頃から、グングンとNWOBHMの魅力にひかれ、2000年以降はメインとなるのがマイナーNWOBHMバンドだった。日本で紹介されたNWOBHMというのは随分と湾曲されて伝わっているなぁと肌で感じましたね。そんなワタクシは、このバンドがかつてNWOBHM四天王と日本で紹介されたと知った時は心底驚きましたよ。
しかもメイデン、GIRL、DEF LEPPARDの組み合わせですよ。今とは違い特定のメディアの情報に頼るしかない時代背景があればこそ通用する枠組みですが、今となっては笑い話ですよね。
ちなみに、当時を知る人に、四天王の話を聴いた時は信じられませんでした。何故ってGIRLは外タレ好きの女子からワーキャー言われ、このバンドもレイバンのサングラスがカッコいいと、女子から支持を受けたんだと教えられました。にわかには信じられませんが、本当なら凄い話ですよ。
どう考えてもレコード会社と雑誌編集者が結託して、この地味目のベテランバンドを売る為に考えられた戦略にしか思えない。ある意味、プロパガンダと言いたくなるような政治的な戦略であろう。
そのおかげで女子ウケしたのなら戦略勝ちですね。そして、それってバンドの足枷になったような気がする。このバンドからは厳つさは幾度感じない。80年代当時でも古いレイトバックした英国スタイルを築き上げている。
若い人なら知らないエピソードだろうが、NWOBHM云々ではなく、古典英国ロックとして楽しんで欲しい。英国流儀に則ったバラエティ豊かな楽曲が目白押しである。そして、オッサン臭い地味なサウンドを飽きの来ない定番をやっています。

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