この曲を聴け! 

Too Late To Hate / LUCIFER'S FRIEND
失恋船長 ★★★ (2021-07-09 16:33:39)
ユーライアヒープ脱退後、大きなキャリアを築かなかったジョン・ロートン。並みのシンガーなら分かるが稀代の歌い手を思われるジョンが、なぜ表舞台に拘らなかった不思議である。そのキャリア形成の為、すっかりあの人は今、的な認知度になってしまったが彼の歌声に衰えなど一切なく、その力強い美声は円熟味を増していました。

久しぶりの表舞台の作品と言える今作、還暦を過ぎたとは思えないジョンの伸びやかで艶のある歌声、あらゆるタイプの歌いこなせる器用さ、そして全てを自分のカラーに変える存在感、癖の無さがインパクトに残りづらいとの声もあったらしいが、この表現力こそ最大の魅力。幅広いレンジをフォローできる魅惑のパワーヴォイスで全てをジョン一色に染め上げています。

バックを支える演者もジョンの唄を頂点に形成されているが、そこは手練手管の寝業師と言わんばかりにバラエティ豊かな楽曲を用意。無理無駄のないコンパクトなアレンジではあるが、そこかしこにキャリアに裏打ちされた味わいのあるプレイとアレンジで魅了。懐かしの再結成なんて話題性など微塵も必要としない現役感が漂っています。

軽やかなオープニングこそあれだが、②からはジョンの歌声もエンジン全開。メロウな③で聴けるエモーショナルヴォイスに心酔と早くもクライマックスを迎えたと言いたくなるのですが、そこからが更に凄い、いぶし銀のグルーブ感に酔える④、ノリノリの⑤と続きテンションも爆上げ、⑥が登場した時には、松坂大輔ばりに自信から確信に変わりましたと言わんばかりの名作フラグも発動と、硬軟交えた古典ロックの旨味を携え完膚なきまでに聴き手を叩きのめしていきます。今が全盛期と言わしめるフレッシュ感も頼もしい限りと言えますね。

老いて益々盛んなるべし、ジョン・ロートンの訃報は残念極まりないものである。また一人巨星を失った。
この声の変わりはない。ロニー・ジェイムス・ディオがそうであるように、ジョンもまた不世出の天才であったR.I.P。

→同意