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Realized Fantasies / TNT
失恋船長 ★★★ (2021-07-27 21:11:48)
ガンズの成功よりシーンの潮目を迎えたヘアメタル勢、そういうコマーシャル性を際立たせたサウンドが時代遅れになる中で、苦戦を強いられたバンドは、我らがLOUDNESS、STRYPERそしてTNTの三バンドによる、トリプルヘッドライナーツアーに出るも相次ぐキャンセルで予定の半分を消化できず、次の一手を模索する。
東国原英夫風にどげんかせんといかんと、関係者も叫んだ中でバンドが進んだ道が今作になる。透明感溢れる天使が舞い降りるクリスタルサウンドを捨て、よりソリッドで生々しいワイルドさを魅せてきた新生スタイル。感触はかなり変わっているが、根幹となるスタイルは健在。相変わらず豪華なコーラスワークも聴こえるし、北欧マインド全開のメロディもある、ロニー・ル・テクロのギターもモダンさも感じさせる独創性溢れるプレイで魅了と聴きどころは多い。
本来あるアメリカ人シンガーを迎えたことで起きる化学反応、今作には、そういった個性の確立が前2作とは違う形で成立させたアルバムだと思う。
①から違いを感じるが、②の折衷案には舌を巻く。個人的はこれくらいハードさがある方が好みではあるが、ダメだこりゃとバンドを見放した人が続出したと言うのは理解できる。でも、パッと聴いた印象はアメリカンです。キーボードを減らしたことが余計にそう感じさせるのだが、基本的なフレージングやメロディセンスは、些かも曇ってはおらず北欧マインド全開である。まぁ気になる女子が、変なパーマ当ててきたみたいな違和感に襲われる瞬間もあるが、このバンドのメロディの作りに惚れているマニアならばイケるでしょう。
時代に迎合しただけではない、らしさを感じさせたのが最大のポイント。

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