この曲を聴け! 

Lonely Hero / SADWINGS
失恋船長 ★★★ (2021-08-13 13:31:36)
北欧はスウェーデン産の正統派HM/HRバンドが1985年にCriminal Responseリリースした1st。Criminal Responseと言えばEbony傘下ですから、その時点で危険を察知した方は撤退を進めます。粗くバランスの悪いミックスと2.3日で終わったんじゃないのかと思わせるレコーディング、毎度おなじみの奴です。

北欧と言えばクラシカルテイストとDPやRAINBOW、MSGと言ったバンドからの影響を想像するでしょうが、このバンドのご多分に漏れず、そういったバンドからの世界観を踏襲した泣かせのメロディが勢いよく弾け飛ぶHM/HRサウンドを披露。NWOBHMの影響もありありとした音楽性、その中にはキーボードを大導入した北欧版JP風味もある、それだけに、バランスの悪い音質の中をかいくぐってでも聴きたいと思わせる魅力はあるのだが、初心者にススメづらい黒帯サウンドであるのも事実。

また中には似たようなスピードナンバーも散見できるため、余計にマイナー臭に拍車を掛けている。それにヨーロッパがアメリカに渡りアメリカンナイズドの極致のようなアルバムで成功したため、北欧メタルのフォーマットがおかしな解釈をされてしまいがちな状況がある為に、垢抜けないがパワー漲るワイルドロックの中を泣かせフレーバーが一陣の風となり吹き抜けるスタイルこそ、元祖北欧メタルだと言いたい。ヨーロッパの3枚目はアメリカン過ぎる。

ゴールデン番組のMCの千鳥よりもいいが、やっぱり相席食堂の千鳥が好きだ、今ちゃんの実は時代のロケを思い出す、そんな価値観をメタルの世界に落とし込めるマニアならば、分かっていただけるでしょう。

全8曲、30分にも満たない北欧ロック一代絵巻、スピードナンバーありバラードタイプあり、ノリのよりロックありの究極のインディーズアルバム。ドラムの音が腹正しい、ベースなんて聴こえないぞ、ヴォーカルは風呂場で録音したのかと、欠点を上げればキリがない、しかしここには愛すべき音楽が詰まっとる。マニアならずとも立ち上がらせるパワーもありますので、北欧メタルの興味のある猛者ならば一度はトライして欲しいですね。でもメディア偏重の人からすると、お前の耳は千切れとると叱られるでしょうね。こんなもんススメるなだよなぁ。

→同意