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Spellbound / TYGERS OF PAN TANG
失恋船長 ★★★ (2021-08-21 19:21:14)
大手MCAのバックアップは充実していたのかプロデューサーにクリス・タンガリーディスを迎えバンドサウンドを拡充。2作目にしてNWOBHMなる枠組みを突破したようなワールドワイドなメタルサウンドを披露。ホワイトスネイクの成功などもあり日本では突出して評価をウケる事になった。しかし、個人的にはホワイトスネイクとの類似性は幾度なく、あんなにモダンでメタリックなアプローチは行っていない。むしろ、ゲイリー・ムーア強めなので若々しい勢い重視のギターは、精度よりも青さが目立つ、それはレコーディング日数などもあるが、ホワイトスネイクで成功したギタリストがいるバンドだからスゴイと言うロジックは苦手である。
今作はもっと違う視点で評価してもらいたい。今の若い人たちの方が客観的な批評になるだろうから心配はしていないが、かつて巻き起こった過剰なサイクス最強論には首を傾げています。
どちからといえばジョン・デヴァリルのチョイカヴァーディル風のエモーションでパワフルな歌声の方がバンドサウンドを何倍にも膨らませた貢献者であろう。

ツインギター編成になり厚みをましたバンドサウンド、そこに前任者とはタイプの異なる完投型の先発投手のような馬力と、スタミナを考え緩急を操るベテラン投手のように完成度の高い歌声を披露したジョン・デヴァリルのパフォーマンス力は凄まじいインパクトを誇りNWOBHM軍団の中では頭一つ抜けた存在感をあらわにした。
ロブ・ウィアーは相棒にイケメンで新進気鋭のギタリスト、ジョン・サイクスに声をかけバンドサウンドを強化、彼のゲイリー・ムーア剥き出しの荒々しいギターを存分に生かしグイグイと前に出てきた。
ちなみにジョンの素晴らしさは押せ押せのギターではなく、やはり若いのにエモーションを込めたプレイが出来た点であろう。そこもゲイリー譲りと言う事でしょう。
唄えるシンガーと手に入れたバンドは音楽性を強化。幅広い楽曲を揃え一枚を通して聴かせるだけの完成度を魅せる事に成功。メンバーチェンジ大成功ですね。歌メロが実に印象的です。二人のジョンの加入はバンドに大いなる可能性を落とし込んだ、個人的にはなによりもスケールの大きさは如実に感じる①も凄いが⑥のリフなんて広瀬聡じゃなくともマネしたくなるゲイリー直系のやつである。
大袈裟抜きに今聴いても凄いなぁという場面が多々ある、プロデューサーであるクリスの目利きもあるのでしょうが、バンドは2作目にして、シーンの新星としての眩い輝きと共に風格を手にした。

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