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Crimes in Mind / STREETS
失恋船長 ★★★ (2021-10-08 14:51:42)
KANSASのスティーブ・ウォルシュに英国のパワーポップバンドCITY BOYのギターだったマイク・スラマー、ベースは後にKANSASで活躍するビリー・グリア、ドラムはスティーブのソロで叩いたり、ジョシュア・ペラヒアの3枚目のアルバムに参加したティム・ゲールトの4人によるメロディアスロックバンドが1985年にリリースした2枚目。プロデューサーは後に隆盛を極めるボー・ヒルが担当とお膳立ては揃っています。
腕利きのミュージシャンが集い、作り上げたる音楽性は全てが3分台のコンパクトな楽曲、そこにドラマ性を盛り込み、ながら聴きなどを許してくれない質の高い音楽性を披露しています。その魅力はオープニングナンバーから炸裂、スティーブ・ペリーとのお仕事で手腕を発揮したランディ・グットラムも楽曲制作に携わり、シャレの効いた本格派のメロディアスロックを展開、必要最低限の表現方法も用いり聴き手にインパクトを残していく。
そりゃ、ギターだってももっと弾きたいだろうし、リズム隊もガシガシと強烈なビートを刻みたいだろうが、このバンドはスティーブの唄がメインである。そこを踏まえて徹底的にコンパクトでキャッチーだが、ちょいプログレ風味も隠し味にフックのあるメロディをねじ込むことでクールな歌モノロックをやり切っている。
スティーブが歌い上げる扇情的なメロディにグッと掴まれるが、どの曲もヒットポテンシャルが高く売れそうな空気も満載、陽ではなく陰な部分もスポットを当てつつ、爽快感溢れる親しみやすい風を吹き込むことで独自の黄金比を形成、徹底的にやり切った楽曲はどれもが魅力的でした。
しかし、セールス的には惨敗。結局、バンドは程なくして解散の憂き目にあるわけです。このバンド、ルックスよりも実力の玄人好みのバンド編成もあり、国内盤は見事にスルーされているわけですが、スティーブが唄っているだけでもグッと興味が湧くでしょう。なんたって唄が上手いですからね。彼が哀愁のあるメロディを唄うのですから間違いはありません。おまけにギターと曲を提供するマイク・スラマーでしょう、メロディ派を自負するマニアなら聴いて損はしないでしょう。

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