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Rock 'n' Roll Gypsies / SAXON
失恋船長 ★★★ (2021-11-09 13:19:53)
短命に終わった『Destiny』のラインナップ。個人的には歌モノが大好きなのでOKな作風だが、大胆に売れ線志向に舵を切った時代でもあり、長続きはしないだろうと感じてました。そんな関係もあるのか、このライブではリズム隊が変更。ナイジェル・グロックラーが戻り、付き合いが長くなるニブス・カーターの名前が初めてクレジットされたのが今作であった。リアルサクソンファンにとっては、このアルバムはそういう意味での記念碑的な意味合いもあり以外と着目される一枚でもある。
一部の雑誌崇拝者の影響もあり渡米後の彼らがいわれのないバッシングを受けた事実を知るものとしては同情を禁じ得ないのだが、今の若い人は雑誌を読まないと聴いたのである意味一安心です。余計なバイアスが掛からない今だからこそ、機会があれば聴いて欲しい一枚。プロデューサーにビフ・バイフォードのクレジットがあったように、今作はALLサクソンで作り上げた渾身のライブ盤である。
ちなみに私が所持しているモノには③④がない10曲入りなのですが、ここで収録されている⑤⑥⑦⑧の流れが素晴らしく、熱の籠もったサクソンナンバーが目白押し、新たなるロックアンセム⑤、ドラマティックな⑥、そして哀愁溢れる、これまたドラマティックな⑦と流れアタッキーな⑧へと進む展開はグッときますよね。楽曲が寄せ集めあのか、ぶつ切り感があり歓声もわざとらしさがあるのだが、それでも渡米後の彼らの雄志が目に浮かぶようなベストアルバム的な側面もあり、初期の頃のバイカーズスタイルの曲が収録されていないというのが面白い。掟破り感が漂い、じゃないサクソンの楽曲が多いのだが、それでもこれもサクソンと言える裏メニューが満載であり彼らのファンにとってはありがたい一枚だろう。
今は2021年である、そりゃ一度はBURRN!! の批評に完全に乗っかり調子こいたかも知れないが何時までも強がっていないでと言いたいですね。本当に恥ずかしいよ。お里が知れているんだもの、だって、めちゃくちゃアメリカンナイズドされまくった他のバンドの作品を絶賛して、サクソンだけ×って説明がつきませんからね。古参の方にはそういうチャンスを与えてくれる昔のアルバムですよと言いたい。そんな風評被害を知らない若い人には、随分と新鮮な感触を覚えるでしょうね。バッキバキのムッキムキな昨今のパワーメタルサクソンよりも聴くべきアレンジと楽曲が多いですよ。間違っても縦ノリの曲を横ノリではやっていませので…そして、これこそアメリカンナイズドなライブアルバムだと言っておきます。

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