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Master of the Moon / DIO
火薬バカ一代 ★★ (2021-11-16 00:39:56)
ロニーの自伝が発売されたとのニュースを見かけ、今更ながら引っ張り出して聴き直している’04年発表の12thアルバム。彼の死去により最早更新されることがなくなった、厳然たるDIOの最終作でもあります。
『STRANGE HIGHWAYS』(’93年)以降、ヘヴィ・ミュージックと泥沼の格闘を続けるDIOに対する興味は下降線を描く一方でしたが、HEAVEN & HELLの登場で潮目が変わったことを切っ掛けに改めて本作と対峙してみたところ、これが試行錯誤を脱したDIOが復調の兆しを掴みかけていたことがハッキリと伝わってくる仕上がりじゃありませんか。
勇ましくドライヴする曲調が“STAND UP AND SHOUT”を彷彿とさせるOPナンバー①で掴みはOKとなる本編はダークで神秘的なHMサウンドが渦を巻き、BLACK SABBATHで培ったどす黒いヘヴィネスが横溢する②、冷ややかなKeyリフが刻まれる④、重々しく劇的な⑥といった楽曲からも明らかな通り、妖しいメロディをコブシ効かせて歌い上げるロニーのVoに往年の「粘り」が戻ってきていて思わず顔がニヤけます。脱退して復帰してまたクビになったと思ったら再び復帰するという、清水健太郎ばりの出たり入ったりを繰り返す男クレイグ・ゴールディ(G)も随所でグッと来るソロを奏でて存在感を発揮。重厚にしてキャッチーな⑧なんて、この当時のDIOの魅力が凝縮された名曲と言えるのでは?
全体としてはやや地味な印象が拭えず、流石に初期4作に匹敵…とまではいきませんが、しかし『LOCK UP THE WOLVES』の域には軽く達している1枚。HEAVEN & HELLの『THE DEVILS YOU KNOW』の充実は本作の存在抜きには語れない気がする今日この頃。

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