この曲を聴け! 

Rain / Stingray(JAPAN)
失恋船長 ★★ (2022-01-15 18:04:28)
このバンドの登録もあったし、このアルバムをコメントした記憶がありありなんだけどなぁ…バンド自体が消えていたんだよねぇ
ウーン、チェリーボーンからの譲二ショックである。
気を取り直して再投稿をしますかね。

キングレコードはNexusから1985年にリリースされた1st。いかにも日本人らしいスクラップ&ビルドを展開、影響を受けたのアーティストからのエッセンスを巧みに取り込みニューミュージックなロックサウンドを展開。非常に聴きやすい歌謡テイストのあるロックサウンドを聴かせてくれます。少女漫画チックな歌詞の世界もなんとも言えないドリーミングな世界観を魅せ、このバンドの独自性を高めているように感じるが、日本のプログレバンドはこんな感じだったかも知れない。
インストから続くのはマイケル・ジャクソンが踊り出しそうなビートの強いナンバー、その後もグッとロックな滾りを感じず、脱落しそうになった中盤あたりで、キレのあるリフが切れ込んでくるスピードナンバーが唐突に顔を出しボルテージを上げます。このバンドの本文はどこなのか戸惑うが、繊細なハイトーンを操る鈴木治の歌声もハマり、暴れるギターと躍動するリズム隊がここぞとばかりにフラストレーションを払拭しています。オルガンもユニゾンをかまし音に厚みを持たせている(エンディングに向けてバンドが一体感を高め爆発するスリルと破壊力は凄まじい)。こういう曲がもう少しあれば良かったのだが、歌謡テイストと恥ずかしい日本語歌詞が絶妙な味わいを魅せるジャパニーズメロディアス歌謡メタルの⑥で昇天させてくれる。アルバムの方向性や売れないと飯が食えないというレーベルの意向もくみ取り折衷したような⑥はバンドの本文なのかも知れませんね。
でも⑤の演奏が全く無理を感じさせないので、腕に自信はあるがやらせてもらえなかった感は否めない。
そういう疑問の抱えたまま、やり過ぎソングの⑦へと向かい、こういうtoo muchさが問題なのですが、アルバムの表題曲である⑦は良い雰囲気です。でもイーグルスに訴えられたら100%敗訴します。
そのインパクトの強さが全てを霞ませるのですが、国産メタルシーンの難しい活動基盤を考えると、こうなるのも仕方が無いのかと大人になれば飲み込めます。なんだかんだ言って、自分の好みに併せて好きな曲をチョイスすれば問題はありませんので、個人的には大いに楽しみました。

ちなみにワタクシが持っているのは2002年に紙ジャケで復刻した奴です。そして2017年には高音質で再発もされています。比較的入手しやすい一枚でしょう。キーボードと哀愁のあるメロディを生かしたサウンドは、ソフトケイスされた面は強めですが、その日本人らしいワビサビのある展開と繊細な作り込み、それは⑧みたいな曲にも顕著に表れているでしょうね。

ワタクシも1985年当時に聴かされたときは、ボロクソ悪口を言いましたよ。軟弱な唄だ、こんなもん女子供が喜ぶソフトロックだとケチョンケチョンでしたが、年齢を重ね物事の分別がつくようになったら、このバンドの持つ技量や制約のある活動下の中で意地を見せたんだよなぁと勝手に推察して楽しんでいます。ギターは上手い、リズム隊も安定感がある。皆、腕に自信がある。だから、この繊細は歌声を生かした英国寄りのメロディアスロックを作り上げる事が出来たのであろう。
ゴリゴリのメタルファンにはすすめないが、和洋折衷を楽しめるマニアにすすめたい。あと潔癖は人は止めた方がいい。聴いたことのあるフレーズが多すぎる。

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