この曲を聴け! 

Alien(3rd) / ALIEN
火薬バカ一代 ★★★ (2022-02-10 07:24:54)
アルバム2枚を残して活動を停止したトニー・ボルグ(G)率いるスウェーデンのALIENが、元MADISONのコニー・ペイン(B)らを新メンバーに加えて復活、’93年にセルフ・タイトルを冠して発表したカムバック作がこちら。通算3作目。
今回シンガーとして起用されたのは、オリジナル・メンバーのジム・ジッドヘッドでも、2nd『SIFTIN’ GEAR』で歌っていたピート・サンドベリでもなく、ダニエル・ザンゲル・ボルフなる日本ではほぼ無名の人物(結構キャリアはある模様)。それでも流石トニーのお眼鏡に適うだけあって歌唱力は上々で、ハイトーン系ではなく中音域をメインにじっくり歌い込むタイプゆえ、それに合わせて音楽性の方も、従来の北欧ハードポップならではのキラキラ感が後退し、曲によってはブルージーなテイストも盛り込む等、より洗練されたAOR/メロハー路線へと若干の軌道修正が図られています。(逆に今回の音楽性の変化にマッチするシンガーを選んだのかもしれませんが)
しっとりとスタートするOPナンバー①から早くも明らかな通り、トニーのフックを盛り込んだ作曲センスにもGプレイにもブランクは全く影を落としておらず、特に透明感を湛えた哀メロと、ライブ映えしそうな躍動感を併せ持って駆け抜けていく④や、美しいエレピが奏でるKeyリフも印象的なメロハー⑦、STYXの名曲“BOAT ON THE RIVER”に通じる詩情漂わすバラード⑧等は、「これぞALIEN」と膝を打たずにはいられない名曲に仕上がっています。
帰還の挨拶としてはまずは上々のクオリティを有する1枚ではないでしょうか。

→同意