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高校野球が好き!FOREVER
HIGASHI (2022-03-31 07:52:35)
「惜別」
先日、県の先生方の異動の発表があり、我が母校の野球部部長を12年間勤められたH先生が先生の母校に異動となった。野球部のOB会としては長らく先生にはずっとうちに居てほしいと働きかけていたが、とうとうその日が来てしまった。
先生が熱心に野球部の環境作りをしてくれることも評価が高かったけど、何よりOB会が評価していたのは先生の人柄だ。
野球部関係者というと怖い雰囲気の鬼軍曹のような人が多い中、H先生は穏やかでにこやかにいつも微笑んでいた。自身も高校球児でキャッチャーをされていたので、野球理論はしっかりしているし、ノックもうまい。そして何よりも生徒たちへの愛情が深い。
一番印象に残っているが、県ベスト4で敗れた時の試合後の保護者へのあいさつの時だ。
その時の3年生には夏の大会直前で運動ができなくなるほどの大けがをしてしまったK君がいた。そんなある夜、父親がもう試合には出れないからつらかったら野球部辞めてもいいぞ、と声を本人にかけたらしい。本人は一晩考えさせてくれ、と言い、翌朝父にその答えを告げた。

「やっぱり野球部は辞めない。うちの学年は1年生から誰も辞めてないことが自慢で今までやってきた。夏の大会の直前に自分が辞めて、チームのムードを悪くするようなことはしたくない。野球ができなくてもチームでの居場所は自分で探す。」

そう言って野球部を続けてくれた。そんな彼に背番号を与え、全く戦力にならないのは承知でベンチに入れてくれたのはH先生の計らいだった。そしてチームは50年ぶりの県ベスト4まで勝ち上がった。最後の試合に敗れた後、選手から父兄に挨拶するのがわが校の恒例行事だ。その場でK君はこう言った。

「今まで野球を続けてきて、最後は両親の期待に応えることができない結果になり、誠に申し訳ありません。でも僕はこの結果を恥ずかしいとは思いません。最後までチームの仲間で入れたことは僕の一生の宝物です。最後まで僕のわがままを通させて頂いた両親とチームに心から感謝しています。ありがとうございました!」

そう言ったK君の横で大粒の涙を流して拍手していたH先生の姿が忘れられない。決して甲子園に出れるような高校ではないが、立派な人間教育がなされている。その大きな一翼を担ってくれていたのがH先生なのだ。
今度異動されるH先生の母校は県下一の進学校だが、うちと同じで甲子園経験はない。予選エリアが違うので、ベスト8以上でなければ対戦しないけど、いつか先生の母校とうちとで県決勝まで勝ち上がり、初甲子園をかけて戦いましょう。
その時は我が母校の応援席からそっちのベンチに向かって舌を出して中指を立ててますんでよろしく(笑)

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