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Port Royal / RUNNING WILD
失恋船長 ★★★ (2022-05-29 12:44:47)
今はACCEPTのドラマーとして知られるジャーマンメタル界を支える凄腕ドラマーのステファン・シュワルツマン、ベースはGrave Diggerで活躍するイェンス・ベッカーにスイッチして制作されたフルアルバム。上昇気流に乗りつつあったバンドだけにメンバーチェンジに対する不安はあったが、揺るぎなきロックンロルフ節に些かの陰りはなく、むしろジャーマン由来の剛毅なパワフルサウンドは、新生リズム隊の推進力の強さもあり、より屈強なモノへと強化。ロルフ特有の叙情的なメロディとの相性も良く、このバンドの流儀を高めている。
とにかく類型的なスタイルに何の疑いもなくやり切っている、スピード、パワー、メロディという三種の神器を旗印に掲げ、ロルフ船長は広大なミュージックシーンの大海原へ舵を切ったと言えよう。このスタイルを突き詰めることがバンドの全てなのだが、同時にそれは限界のあるスタイルでもあるのだが、勇壮なメロディックパイレーツメタルサウンドが放つ、バトルティックなサウンドに闘争心をかき立てられます。
今となっては忘れ去られた感のあるバンド、1988年という時代に、逆行するかの如き融通の利かない音楽性は、それなりの大衆性も取り込み折衷していた事は間違いない。自分たちの型を持つバンドの強み。それが後年、マンネリズムに繋がり航海を止める時期もあったのだが、ここで聴けるスタイルは、彼らの未来を明るいモノであると確信させるだけの魅力を放っています。

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