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Drastic Measures / KANSAS
失恋船長 ★★★ (2022-07-07 18:49:05)
スティーヴ・ウォルシュが去り、今度はヴァイオリンのロビー・スタインハートもバンドを離れることとなる。前作から参加するジョン・エレファンテの存在感がグッと表に出てきています。完全にメロディアスな唄モノロックに変貌を遂げました。
時系列で追っかけたファンは度肝を抜かれたでしょうね。
これがロマン溢れるアメリカンプログレバンドの最終形態と言われたら下を向くしかないでしょう。

これはリッチー・ブラックモア率いるRAINBOWの変遷をどう捉えるかです。日本でのRAINBOW初CD化は、たしか酒井康氏監修の2枚組のベストだったと記憶している。その選曲はかなり偏ったモノであり、特にジョー・リン・ターナー時代のチョイスには、かなり疑問があった。推察するにジョー=ラジオ向けのポップバンドという図式なのだろう、だからラス・バラードの曲になる。
あのおかげで随分と後期RAINBOWはワリを喰った。何ならRAINBOWの軟弱化はジョーの仕業と言われる勢いだったが、世の中がアナログ盤からCDへ移行する際に、BURRN!の広瀬さんがジョーを激押し、インギーとの共演も功を奏し、ソロアルバムで低評価を喰らった汚名を雪ぐ事となります。
もし、広瀬さんがいなければ日本におけるRAINBOWの批評はどうなっていたのでしょう?個人的にはKILL THE KINGの後に、I SURRENDER聴かされたら殺意を覚えるもんね。それくらい違うバンドになりましたが、FIRE DANCEもあるぞ、SPOTLIGHT KIDもあるぞと成るわけですが、何故かベスト盤には、そちらの硬派なのは収録されず、軟弱=ジョーという悪意を感じる選曲と思うのは私だけでしょうか?もっとロマン溢れる曲もあるぞの中で、最もシングル向けを選曲です。考えるとゾッとしますね。ファンクロックが好きじゃない批評家が多く第3期DPの評価が低めなのが典型例です。

今作のどこにフォーカスを当てるのか?それが全てを結審します。結論から言えば、ポップロックとしては極上の品質を誇ります。耳馴染みの良い柔らかい感触、上手い歌を主軸に聴かせています。それでありながらも大衆性オンリーの音楽性に倒錯するのではない、IQの高さが音楽性に練り込まれており、カンサスという冠名をギリギリ守っています。
これは時代の流れの即した変遷であり、ワタクシのように、良い音楽を聴きたいが最優先であり、バンド名は二の次という感性の人ならば、驚きはあれど許容できるでしょう。
しかしロマン溢れる往年の姿を期待するならば無視するべきですね。つくづく罪作りなアルバムですよ。完全に賛否が分かれるでしょう。どちらかと言えば否が多いのですが、これが売れたらどうなったのかと思うと…ね。

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