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1985 / TALAS
失恋船長 ★★★ (2022-09-29 20:35:03)
ビリー・シーンが在籍していた事で知られる伝説のロックグループの最新作。2022年に3枚目のアルバムをリリースしてきたのですが、これが驚いた。アルバムタイトルが示すように1985年という、メタルバブルが巻き起こる直前の、まだ健全さが残るガチンコのアメリカンハードサウンドを披露、外連味のない豪快なサウンドは、あの時代を懐かしむだけではないフレッシュ感を伴い今の若い人にも十分、訴求する力を持っているでしょう。
今作リリース時には他界してる、リードシンガー、フィル・ナロの熱のこもった歌唱スタイルはこの手のサウンドに激ハマり、ドラムのマーク・ミラーはビリーの相棒を見事に勤め上げ堅実だが、派手なリズムを見事に支えている。
適度に華やかで硬質なロックテイストを均衡させた奇跡的なバランス感覚、ドライになりすぎればヴァン・ヘイレンみたいになるところを上手く回避しながら、MR.BIGでもないTALASな音を鳴らしている。

個人的には、ここを一番危惧していました。ビリー・シーンがいるだけに、マネージメントから変なアイデアを盛り込まれ安易な方法を取る楽曲が1曲でもあれば台無しですからね。

主要メンバーであるビリーが抜ける直前のTALASというバンドのポテンシャルの高さと可能性、こんな強力なマテリアルを眠らせていたなんて勿体ないですよね。こういう形で復活してくれたのは本当にありがたいです。
やんちゃで勢いがあるのに、どっしりと構えた横綱感、昔ほど、ビリー・シーンのベースを前面に出しているわけではないのでバランス感覚にも秀でている。でもベース強めなのは、このバンドの持ち味であり。ビリー・シーンという男の存在感が売りでもあるために、このミックスに不満はない。
バンドを牽引するのがベースという面白い音は今も昔も変りませんね。
普遍的アメリカンハードサウンドのど真ん中を闊歩する王道スタイルとベース主導という斬新さの融合、今作も最高の形で実現してくれました。昔のマテリアルを引っ張り出しても懐古主義で終わらないのは、このあたりのセンスなんでしょうね。
そして一番良かったのは現代的なサウンドメイクにしなかったこと、これに尽きる。

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