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Vigilante / MAGNUM
火薬バカ一代 ★★ (2008-03-30 21:31:00)
前作『ON A STORYTELLER'S NIGHT』の成功を受け、メジャー・レーベルのPOLYDORとの契約を手に入れたMAGNUMが、
QUEENのロジャー・テイラー(数曲でバッキングVoも担当)をプロデューサーに迎えて制作、'86年に発表した6thアルバム。
ほんのりと漂うプログレ・テイストと、如何にもブリティッシュHR然とした陰影やドラマ性が大幅に後退した代わりに、
洗練の度合いをググッと上げて、ポップでキャッチーな産業ロック路線へと足を踏み入れたサウンドが、初期MAGNUMの
音楽スタイルを愛するファンの間で賛否両論を巻き起こした本作。だがしかし。高い大衆性と、強力なフック、
そして、哀愁のメロディに彩られた楽曲の数々は相変わらず強力極まりなく、コクが薄れアッサリ風味になったとは言え、
これはこれで非常に魅力的。このアルバムに伴うツアーがソールド・アウトの連続で大成功を収めたというのも、
大いに納得の行くクオリティを誇っているんじゃないかな、と。
特に、リズミックに弾むキャッチーな③、サックスをフィーチュアした哀愁のハード・ポップ④、優しく包み込むような
バラード⑦、力強く劇的なアルバム・タイトル・トラック⑧、ライブでの大盛り上がりが容易に想像できる、壮大で
ダイナミックな⑨といった、MAGNUMの新たな魅力を開拓した楽曲の平均レベルは総じて高く、初期の名曲群と比べても何ら遜色はない。
当時としてはモダンだったのだろうが、今となってはやや古臭い印象の否めないサウンド・プロダクションが惜しまれるし、
個人的には、この路線がボブ・カトレイのVoの魅力を十二分に引き出しているとも思わないが、ともあれ、質の高い作品である事は確か。
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