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Powerzone / CHEZ KANE
火薬バカ一代 ★★★ (2022-12-06 01:26:55)
80年代に活躍した女性ロック・シンガーへのリスペクトを満載にした会心のデビュー作『CHEZ KANE』(’21年)が、母国イギリスのロック・チャートで最高第8位を記録するという好成績を残したシェイ・ケイン(Vo)が、「鉄は熱いうちに打て」とばかりに矢継ぎ早に発表した2ndアルバム。’22年発表。
前作から僅か1年足らずのブランクでのリリースと相成りましたが、プロデュースから作詞作曲、ほぼ全ての楽器演奏、更には拘りを感じさせるジャケット撮影まで八面六臂の大車輪でこなすダニー・レクソン(CRAZY LIXX)の並々ならぬ入れ込みっぷりが物語る通り、ここには〆切に終われて慌ててでっち上げたような粗雑さは皆無。CRAZY LIXXの方が心配になってしまうぐらい、惜しげもなく投入された収録楽曲はいずれもメロディにフック効きまくりで、(月並みな表現で恐縮ですが)全曲シングルカット可能なクオリティ。声を張ると切ないフィーリングも醸し出すシェイ嬢の溌剌とした歌声を乗せ、今回も王道アリーナ・ロック路線を堂々突き進んでいます。
本作の魅力を集約したような高いヒット・ポテンシャルを感じさせる①②⑩、80年代だったらジム・スタインマン・プロデュースでボニー・タイラー辺りが歌っていそうな大仰なスケール感を有するバラード⑤、アルバム表題曲に相応しい高揚感を湛えてパワフルに駆け抜ける⑥といった逸品の数々には、単に「80年代風味満点だから素晴らしい」的な安易さとは一線を画する質の高さと説得力が備わっていますよ。収録全曲が“CRYN’”級の出来栄えを誇るVIXENのアルバム…という例えにピクリと食指が反応した諸兄にお薦めする1枚です。

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