この曲を聴け! 

Good Trouble / REO SPEEDWAGON
火薬バカ一代 ★★★ (2023-03-21 22:49:39)
最終的には1000万枚を超すセールスを記録した11th『禁じられた夜』(’81年)の特大ヒットで、晴れてトップ・バンドの仲間入りを果たしたREO SPEEDWAGON。通常、ヒット作の後のアルバムというのはマーケティング戦略上、発表までにかなりブランクが空くものですが、彼らは勿体付けることなく直ちにレコーディング作業に取り掛かると、1年1作のローテーションを堅守するかの如く’82年にこの12thアルバムを発表しています。
『禁じられた夜』との連続性を打ち出したアートワークににっこりさせられる本作は、“涙のレター”のヒットを受けて、更にバラード調の楽曲を増量したメロウな作風を追求しそうなもんですが、どっこい。ゲイリー・リッチラスのGを核とする躍動感溢れるロックンロール・スピリッツはここでもしっかりとキープ。と同時に、夏の終わりを意識させるような、懐かしくもどこか物悲しいメロディで楽曲を包み込み(別に音楽性に共通点があるわけじゃないのに「アメリカのサザンオールスターズ」と呼びたくなる)、泥臭さを殆ど感じさせることなくキャッチーに聴かせきる手腕にも益々磨きが掛かっています。
特に熱いエモーション迸らせながら駆け抜けていくケヴィン・クローニンの熱唱とゲイリーのGソロに胸を締め付けられる⑨、そのゲイリーのGとニール・ドーティの流麗な鍵盤捌きが華々しく並走する⑤は、個人的にREO SPEEDWAGONに求めるエッセンス(上手い歌、哀愁のメロディとピアノ、ロックンロールの躍動感)全部入りの名曲ですよ。
売り上げ的に前作に及ばなかったこともあり、あまりスポットライトが当たる機会はありませんが、内容の充実度では決して引けは取らない捨て曲なしの名盤。

→同意