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Refugee / SAMSON
失恋船長 ★★★ (2023-06-20 12:09:02)
なんだかんだ言ってもコンスタントに作品を残すポール・サムソン率いるSAMSON。今回も大幅にメンバーを交代して作品をリリース。一曲目にゲイリー・オーエン(英国のTNTのシンガー)が歌う以外は大柄のシンガー、ピーター・スカランが担当。引き続きキーボードプレイヤーを迎え入れメロディックメタル路線を強化。NWOBHM路線を感じさせる場面はあるが、AOR調のメロディックサウンドへと舵を切り、今まで以上に守備範囲を広げてきた。前作のEPが余りにもやり過ぎだったので、この揺れ戻し現象は大正解。バンドの本文であるサムソンのギターもそれなりに牙を剥いている。
柔和ではあるが攻めている作風、メロディを際立たせても主役はポールだと言わんばかりにバランス感覚が今作最大のポイントだろう。
これがあのNWOBHMファイターのSAMSONかと言われると微妙だが、無理なく進化したスタイルは非難されるべきではない。とは言え90年代に入る時代を考えると、この手のスタイルがウケるとは言い難い、どこか時代にマッチはしていないが、SAMSONのカタログとしては一番聴きやすい部類に入る一枚。アルバムタイトルの和訳が難民、ポール・サムソンはメインストリームにも素直に寄れず、時代に取り残された印象を深めた、正にヘヴィメタル難民を化したのだろう。名義に拘らず作品単位で評価するならば英国気質の強いメロディックメタルなので、その筋のマニアは聴くべき価値のある一枚。普遍的な魅力は今でも古さを感じさせません。

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