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Old Steel Breath / WITCHNIGHT
kamiko! ★★★ (2023-07-23 18:07:01)
アルゼンチン産スピードメタル2022年作
敢えてスピードメタルと書いたが、ジャンルとしてはスラッシュと言っていいだろう。ただ、音圧があまりになさ過ぎて
ブラストビートが登場する箇所があったとしても何故かスラッシュ以上の激しいジャンルのサウンドには聴こえない。
この盤はダメ作品かというとそうではなく、真逆である。ボクは敢えて海外に注文して今か今かと1か月待ち続けたんだよ。
だいたいWitchのスペルを含むバンドはハズレを引かない。この盤も然りだが、まあ、ちょっと趣きが違う。
オッパイを曝け出した魔女が、謎のサークル内で斧と骸骨を振り上げているチープでヘタクソなジャケ。まずコレがいい。
ここまで潔く下品なジャケは久しぶりだ。魔女の風貌から、Mentorsを思い出したよ。
メタル全盛期頃から、敢えて名盤と呼ばれる有名作品は買わず、このテのチープジャケ作品のC級メタルをチョイス
してしまう性癖はもう治らない。この盤は、そのチープさの趣きが何とも言えず香ばしく大きな魅力だ。
この作品はEPに続くフルレングスアルバムとしてはファーストアルバムだ。この時代にシケシケな音で
スピードメタル寄りのスラッシュをやるバンドはとても希少価値があるね。少なくとも演奏はウマいから
確信犯的にこういう音楽を追求しているんだろう。決してアルゼンチンは音楽発展途上ではなく
上質なメタルバンドは結構いるから、ジャケの印象だけで単に辺境の粗悪作品という見方をしてはダメだ。
音響は線の細い高音域にイコライジングしたシケシケギターの音作りが、スイスのMessiah初期作品にそっくりなので
そっちが好みのリスナーはこの音響に狂喜し一発で超お気に入り作品になるだろう。
C級らしさを醸し出す演出も忘れていない。笑いを誘う素っ頓狂な裏声シャウトが大きな特徴でポイント高い。
コレはC級のポンコツ作品ではない。あくまで80~90年代でローセンスポンコツジャケ&録音で表舞台に出なかった
隠れたマニア向け作品の空気を、現代に再現した名盤だと言いたい。
そういうマニア向け作品を漁ってきたコアなリスナーであるほど、この作品の面白さを堪能できるだろう。

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