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On Target / BANGALORE CHOIR
失恋船長 ★★★ (2023-07-30 20:06:20)
もっと大衆に受ける曲をやるには、ウド・ダークシュナイダーの声では無理だと判断されバンドとマネージメントは話し合いを重ね盟友ウド・ダークシュナイダーを泣く泣く解雇。ロブ・アーミテージ、マイケル・ホワイトを試すも、結局後任に迎えられたのは、無名のアメリカ人シンガー、デイヴィッド・リースだった。短命の終わったACCEPT。

いきなり失業したデヴィッド・リース、アルバムも手放しの絶賛とはならず、またACCEPTらしくない=お前のせいという言われなき罪をなすりつけられ、すっかり戦犯扱いを受けるのですが、その数年後、グランジブームが巻き起こるシーンを横目に復活。HERICANE ALICEのイアン・メイヨーとジャッキー・ラモスとバンド結成、当初はジョーイ・タフォーラがギターを担当するという話で進んだが、最終的にはギターチームにRAZORMAIDのカート・ミッチェルとジョン・カークを迎え入れ活動。プロデューサーにマックス・ノーマンを迎えアルバムをリリースとなる。
マックスらしいメタリックな質感を残した賑やかなサウンドはメインストリーム寄りだが、けして軟弱な要素を抱かせない芯のある華やかさは、時代を問わないクオリティを堅守。レーベルサイドも、埋もれかけていた曲をかき集めるかのように、スティーブ・プランケット、カート・クオモ、ハリー・パレス、リック・フィリップス、ジョン・ボン・ジョヴィ、アルド・ノヴァ等の曲を採用する。

派手で華のあるサウンドは、清々しいくらいメインストリーム寄りのハードサウンドを全開でやり切っているがメタルな姿勢も忘れていないという気持ちよさ、Razormaidのシンガーがデイヴィッド・リースになったような印象を受けるくらいRazormaidは良いバンドなので、硬派でしなやかなメロディックアメリカンメタルが好きな人ならば、ぜひ向こうを合わせてチェックして欲しいですね。

期待したほど売れずバンドは早い段階で解散。ろくにプロモーションもせずに幻のグループと化した。
多彩な曲を収録した今作、このバンドの問題は後半を聴くと感じるだろうが、良くも悪くもデイヴィッド・リースの押しの強さが、どうにもこうにも一辺倒な印象を与えてしまう。その課題をクリア仕切れていないと感じるのが最大のポイントだろう。

その押しの強さは主役級だが、お前、足引っ張っていないか?しかしデイヴィッド・リースの押しの強さは看板だ?
その二面性がもどかしさを誘発している。それはこのバンドの宿命であり、プラスでもありマイナスでもある。

しかし、今作は世界中のメロディックメタルを愛するマニアから支持されており、短命に終わったとは思えないほど、求められていた事実がある。日本だとどうしても一冊の雑誌が牛耳るので、その情報に乗っかるだけだと、流行廃りの踊らされる滑稽な音楽人生を歩むことになるのだが、地に足の付いた筋金入のメロディックメタルファンならば、愛すべき美点の多さに感嘆するでしょうね。

上手いこと曲を散りばめていますね。マックス・ノーマンもいい仕事したよなぁ。

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