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Over the Edge / HURRICANE
失恋船長 ★★★ (2024-07-16 01:44:48)
残念ながらデビュー作がイマイチと烙印を押されてしまった実力派集団。特にケリー・ハンセンの憂いのある力強い歌声はバンドの看板を背負うのに十分な人材、その情緒のある歌声を軸に楽曲を構成、少々長めのイントロが気になるメロディックな①は、派手に突っ走る訳でも、ノリノリのポップソングでもないという姿勢に、このバンドの魅力を感じるが、駄作感が漂うアリス・クーパーのカヴァー、そしてI say na, na, na, na, na, naの繰り返しがカッコ悪い、狙いすぎだ。

そういう悪い流れを、④で盛り返す、アメリカンなグルーブとケリーの強烈な歌声がタフな面を強調、それでありながらも仕掛けがあり単調に流れてはいかない、その構成力とケリーの支える手練手管の寝業師軍団が魅力的なプレイで魅了と、仕切り直しに成功。シングルとしては③は正解だが、アルバムの流れ的には微妙だ。

⑥で聴かせるコーラスハーモニーの美しさ、ケリー・ハンセンはロックシンガー然とした力強さを前面に押し出し、楽曲を支配。そのエモーショナルな歌声は間違いなくハイライトだろう。③のような嘘くさいヒットソングよりも、断然⑥であろう。だからこそドラマティックな⑦へと繋がるのである。バンドはアルバムのハイライトを迎え、英国寄りのロックサウンドで、目先を変えることに成功。
どこかシニカルな要素を持つ⑧、バンドの守備範囲の広さを見せつけた。好き嫌いは別にアルバムの流れ的には、いいアクセントとなっている。

メタルバブルが吹き荒れる、この時代に彼らは実験的な要素の強いアルバムをリリースしてきた。レーベル主導の②③はご愛敬だが、仕掛けの多い作風である。メインストリームを意識していたならば本格的過ぎるのだが、ハードエッジを損なわないギターと、グルーヴィーなベース、そしてバンドサウンドに深みを与えるドラム。聴くべきアレンジが多い。
何度も言うがこういう作風ならば②と③はいらん。エニグマがプッシュするだろうと、名物編集長がレビューした事で、次の隠れたスター、ツウが知るバンドみたいな感じで持ち上げられた記憶があるのだが、キャピタルからも出ているので、そんな感じじゃなかったんだけどね。まぁ、ストライパーの前座やってたからね。

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