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Heavy Bones / Heavy Bones
火薬バカ一代 ★★★ (2024-10-31 23:35:01)
90年代の黄昏時を迎えたHR/HMシーンでは「あのバンドとこのバンドのメンバーが新バンドを結成!」といった再編成の動きが活発化。元CATS IN BOOTSのジョエル・エリス(Vo)、ソロ・アーティストとして『ANIMAL INSTINCT』(’93年)をスマッシュ・ヒットさせたゲイリー・ホーイ(G)、そしてQUIET RIOTやW.A.S.P.の屋台骨を支えたフランキー・バネリ(Ds)らにより結成されたHEAVY BONESも、そうした流れの中で誕生したバンドの一つであり、本作は彼らが’93年に残した唯一のアルバムとなります。
味気ないバンド名とパンク・バンドみたいなジャケット・アートワークを初めて見た時はどうにもテンションが上がりませんでしたが、実際に聴いてみるとプロデュースをリッチー・ズィトーが手掛けていることもあり、90年代風味のモダン・ヘヴィネスには目もくれず、キャッチーなメロディと売れ線バラードを要所に散りばめ、安心感と安定感優先で奏でられるアメリカンHRサウンドはこれが意外にも(と言ったら失礼か)高品質。目新しさは皆無かもしれませんが、ジョエルの変わらぬクセ声、ゲイリーの華やかなGプレイ、'20年に膵臓癌により他界したフランキーの一発でそれと分かるダイナミックなドラミングが、ともすればありがちな方向に流れそうになるサウンドに覇気とHEAVY BONESならではの個性を刻み込んでくれています。特に叙情的に始まり、ゲイリーのフラメンコ・タッチのGをフィーチュアして劇的な盛り上がりを呈する⑥は必殺の名曲ですよ。
デビューが遅過ぎた…とはいえ、90年代だからこそ実現した顔合わせでもあるわけで、とりあえずこの面子であと数枚アルバムを作って欲しかったなぁと。

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