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Secrets / CRYSTAL BALL
失恋船長 ★★★ (2024-11-27 21:53:30)
チョイセクシーでミステリアスなジャケットが象徴するような北欧風の正統派サウンドを披露。今作はプロデューサーにマイケル・ボーマンを招聘と脱退したベースの変わりにベースも担当するという大活躍。
時代は2007年、既にもう似合わないモダン化をやめようという意識改革がアメリカ以外のシーンでは巻き起こり、この時代ゾクゾクと往年のバンドが再結成したり、アルバムをリリースしたりとメディア偏重の大パクリレビューアーでもなければ、その動きを察知した正統派&メロディ派のマニアは多数おり、彼らの目は輸入盤市場へと向けられていきます。
それだけに、今作における初期の作風に回帰したようなメロディックスタイルは大歓迎。このバンドの肝はネオクラギターではない、もっとオーセンティックで味わいのあるリードギターがいることが最大のポイント。ザラついたエモーショナルヴォイスが嫌いな人もいるだろう。
とくにハイトーン系が好きな人には受けないタイプのシンガーだが、彼のメロセンスや個性的な歌声はありがちなサウンドに楔を打ち込み、この声あってのクリスタルボールを思わせるから不思議だ。
鍵盤プレイもオーセンティックなサウンドに貢献、原点回帰の手助けをしているのだが、とにかくメロディの質やジャーマン仕込みの硬派さ、スイスという国の立ち位置も含めワールドワイドなメロディックメタルサウンドを構築している。適度な攻撃性、北欧寄りのあまみよりも躍動するキャッチーさ、そのバランス感覚に舌を巻きますね。とくに表題曲のSECRETSを歌う様などを代表にアンディ・デリスに被る場面もチラホラ見受けられるので、ハロウィーンが好きな人にも勧めたいですね。
2007年という時代が生み出した正統派サウンドの復権劇。今作はそういう古くて新しいサウンドを求めるマニアにはピッタリの音楽性でしょう。回り道を無駄にしなかったが、結局バンドは2013年までアルバムをリリースできない苦境に立たされました。難しいねぇ。バンド運営はさぁ。日本では受けそうだけど、このAOR調のハードサウンドって、筋金入のメタルファンからは軟弱に聞こえるからね。
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