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British Steel / JUDAS PRIEST
失恋船長 ★★★ (2024-12-14 11:40:04)
ワタクシのJP初体験は復讐の叫びという邦題がなんかカッコイイSCREAMING FOR VENGEANCE、そして次作のDefenders of the Faithだった。ヘヴィメタルの聖典として、多くのフォロワーを産んだ名盤。そして、80年代に巻き起こるハードロックからメタルへの移行、その時代の象徴となる作品が今作だと教えて貰ったが、国内盤はUS盤仕様と同じくBreaking the Lawから始まるという構成が良くなかった。
余りにも単調なリフとリズム、妙なキャッチーさ、そしてソロはブワーッと弾くという流れ、あと銀行強盗に押し入るショーもないPVも更にマイナスで、ライブではテンポアップしてやったが、アメリカ仕様なのだろうがオープニングナンバーとしては弱かった。特に2曲目のRAPID FIREがカッコ良かったので、絶対にオープニングはコッチだと思う。
しかし、本来は②がオープニングで①が3曲目だと聞いて妙に納得した。そしてそういう曲順にして聴くと実にシックリくる。エッジの立ったメタルギターとリフ、そして加速化したサウンドの①からミドルに②へと流れ、哀愁のメロディとキャッチネスさを意識した③は実にハマっている。
だから④のGRINDERもシンプルに力強く刻まれるリズムとリフに耳が持っていかれる。サビメロが印象的なスケールの大きい⑤、オリジナルの6曲目はYou Don't Have to Be Old to Be Wise、7曲目がLiving After Midnightとなる。正直、この並びでは⑥は地味に感じるが曲自体はコマーシャル性のある曲であり、次作以降に引き継がれるアイデアの雛形だ。
今作は、今聴いても新鮮さがある。そのフレッシュ感の正体は、音楽に対する忠誠心だろう。邪な感情ではなく時代を見据え対峙した中堅バンドの捲土重来とも言うべき、渾身の一枚。その狙いすました音楽性は、新時代の幕開けに相応しい勢いとハードエッジに富んだ作風だ。
売れたいだけではない。新しい事に果敢に挑戦したバンドの気概に胸打たれる。初期の作風と明らかに一線を画すサウンド。暗く湿った英国ロックとは違った味わいを明確に打ち出すことで、彼らは新時代のトップランナーへと躍り出た。
CDなんて今はほとんど買わないのだが、今作は30THアニバーサリーエディションと購入した。既に所持していたモノとは曲順も違うしボートラも追加、なによりDVDの内容が熱い、メンバーのインタビューも興味深いが、やはり30THアニバーサリーを祝うアルバム再現ツアーだろう。国内盤しか知らない人にはRAPID FIREでの幕開けに違和感はあるだろうが、個人的には、忠実な選曲によるライブには興奮させられた。
今や共演不可能なグレンとKKのコンビを見れられたのも貴重。ライブにおけるフォーメーションプレイもカッコイイ。これぞJPのステージだ。現在は廃盤だがどうせ買うならCD+DVDの2枚組だろう。曲順も好みなのでね。
そしれにしても、今作の投稿をしていなかったとは?ニワカに信じられん。けっこう消えているからな過去のレビューがさぁ
余談だが、伊藤政則のライナーが熱い、当時メディアは好意的に扱わなかったメタルブーム。そういう人たちに恨み節を書込むゴット。いまでは逆の立場になったのだが、彼の純粋な思いと汚名を雪ぐとも言わんばかりの熱量の高い文章に驚いた。1980年リリース当時のライナーだからこそなんだろうけど、目を通す価値はありますね。
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