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Explorer Suite / NEW ENGLAND
火薬バカ一代 ★★ (2008-05-03 01:58:00)
アメリカン・プログレ・ハード史に燦然と輝く、名曲中の名曲“EXPLORER SUITE"と“HOPE"を収録した、
ファンの間でもNEW ENGLANDの最高傑作と評価の高い、'80年発表の2ndアルバム。
伊藤政則氏をして「叙情派ロックの帝王」と言わしめ、こと叙情メロディのクオリティにかけては、凡百のバンド群の
追随を許さない彼らだが、そのメロディの質は、どちらかと言えば「甘さ」「切なさ」「爽やかさ」といった要素が濃厚な、
いわゆる胸キュン系で、北欧的な暗さやクサメロ度は控えめ。そのため、ブリティッシュ・ポップ風味も漂う1st『NEW ENGLAND』に、
期待ハズレとの思いを抱いた人も結構いるようだが、この2ndアルバムでは、そこに更に「悲哀」の色合いが加わった事で、
劇的なドラマ性が大幅アップ。また、Gサウンドがグッと前に押し出され、曲展開も、よりハードに、よりダイナミックにと、
全編にハードロック的なエネルギーが漲る、非常にドラマティックで日本人好みの内容に仕上がっている。
その最たる例なのが、冒頭で述べた必殺の名曲⑤と⑨。猛烈な泣きメロの洪水の前に溺死は必至の名バラード⑨の素晴しさも
然る事ながら、それ以上の威力を備えているのが⑤。華麗にしてドラマティックな曲展開といい、優しく、そして切ないメロディといい、
宇宙へと旅立ったまま帰ってこない父親と、その帰りを待ち続ける息子の別れを綴った、胸締め付けるリリカルな歌詞といい、
あらゆる要素が極上の感動を演出する、全HR/HMファン必聴の名曲。メロディ愛好派は、この曲を知らずに死ぬことなかれ。
勿論、これ以外にも、NEW ENGLAND節全開なポップでキャッチーな③や、劇的に疾走するハード・ナンバー⑥を筆頭に、全編これ捨て曲なし。
名曲2曲の絶大なインパクトの前に、他の楽曲の存在感が掻き消されてしまっている感がなきにしも非ずなれど、
ともあれ、疑う余地の全くない名盤なので、未聴の方はNEW ENGLAND入門編としてどうぞ。

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