この曲を聴け! 

In the Nightside Eclipse / EMPEROR
mokusatu ★★ (2006-06-19 14:50:00)
日本盤が発売された当時、初心者メタラーだった私は、DISSECTIONの1stアルバムをデス声に頭痛をこらえながら理解し、IN FLAMESやAMORPHIS等のメロディック・デス世界に少しづつ足を踏み入れていったが、このアルバムだけはどうしても聴けなかった。
モノクロのメンバー写真のおぞましさもさることながら、スウェディッシュ・デスと較べても異常に篭った音質、発狂しっぱなしのヒステリック・ボーカル、女声の悲鳴にも聞こえるシンセの音色(THE BUNNING SHADOWS OF SILENCEのイントロ)・・・音楽以前に、アルバム全体包む音像そのものにただ立ち竦んでいたように思う。
このアルバムを聴きながら安眠出来てしまう今現在から振り返れば、3rd以降のこのバンドや CRADLE OF FILTH、DIMMU BORGIR等のメジャー感覚のブラック・メタル・バンドが、間口としていかに重要であるかを思い知る・・・いや、このアルバムを耐性のない人に聴かせられるわけないですよ・・・このアルバムやMAYHEMの1stやBURZUMは、最後に辿り着く場所でいい気もする。
2nd以降の技巧的複雑さとは違う、取り憑かれた疾走感と絶対零度の凍てついた旋律が支配するドラマティック・ブラック・メタルで、シンフォニックといっても昨今の壮麗・華美・優雅な印象は少なく、シンセは常に恐ろしく邪なムードを湛えている。演奏水準は同時期のブラック・メタルの中では異常に高く、ノイジーなギターリフは全く淀みないし、豪速ブラストこそないがツーバスもブラストも軽快で安定している。
スラッシュでもデスでもない「何か」が宿っていながら音楽的価値に溢れたアルバムであって正にブラック・メタルのマスターピース。

→同意