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JUDAS PRIEST
KOZY ★★ (2002-05-10 15:01:00)
少し意見を・・・。
JUDAS PRIESTの曲は大好きだし、アルバム単位で見ても好きなものは多い。けど俺は、バンドの偉大さは認めつつも、バンドそのものを追いかけている訳じゃない。アルバムも全て揃えている訳じゃないし、曲も合わないものもある。さらにはここ数年、HR/HM自体から離れてもいた。「JUGULATOR」「DEMOLITION」も聴いていない。そんなある意味「部外者」からの意見として聞いて欲しい。
JUDAS PRIESTは今、迷走してるんじゃないかな。それは彼ら自身に責任があるのではなく、シーン全体の流れに巻き込まれているんだと思う。数々の実験を繰り返し、時代ごとの「HMのあるべき姿」を提供し、常に進化してきた彼ら。その進化はまさに「HMの進化」そのものだった。彼らがHMの進化を牽引していたのだ。しかし、80年代中盤より、シーン自体の細分化が加速度的に進み、今やメイン・ストリームがどれかも分からない状態だ。それと同時に、ファンの好みも細分化していく。シーンそのものが迷走し、「究極のHM」の姿を模索する事が難しい時代になってきたのである。「TURBO」「RAM IT DOWN」「PAINKILLER」はその迷走の中で生まれた作品だった。おそらく、ファンの側の頭も固くなっていたのだろう。
実は俺も、もう一度「PAINKILLER」のような作品を期待している一人だ。それはなぜか。やはりそれは素晴らしい作品だったからだ。では、果たしてその頃の作風に戻ることが、本当に「進化を止めた後ろ向きな状態」なのだろうか?
まず「PAINKILLER」がなぜあれだけ支持されたのか、俺なりに考えてみた。「SCREAMING FOR VENGEANCE」「DEFENDERS OF THE FAITH」で衝撃を受けたファンが、「シーンの細分化」の中での砦としていたのがJUDAS PRIESTだった。だが「TURBO」「RAM IT DOWN」の2作は、シーン全体を見渡して統一しようという試みの中で生まれた作品である。結果「問題作」となった訳である。そこでおそらく彼らは、細分化された中からもう一度、自分たちの原点を見直したのだと思う。その原点を、当時のスピード&ヘヴィネスと融合させて出来たアルバムが「PAINKILLER」だ。彼らが最も支持されていた「硬派なHM」の部分をデフォルメし、新しいものと融合させたこの作品は、原点回帰の意味合いを強く含んでいるのだ。それが、迷走の中で彼らがこの作品に盛り込んだ、一つの答えだったのだと思う。このアルバムが発売された当時も、恐らく「後ろ向き」と発言した人がいたに違いない。しかし作品そのものの素晴らしさを前に、そんな意見は消えてしまった。今にして思えば、「SCREAMING FOR VENGEANCE」「DEFENDERS OF THE FAITH」も立派な原点回帰の名作だ。原点と新しいものを融合させる・・・これも立派な「進化」である。決して「後ろ向き」になっている訳ではないのだ。
メイン・ストリームがか細くなり、シーンの細分化がさらに進んでしまった今、JUDAS PRIESTにはこのメイン・ストリームをもう一度広げてもらいたいのだ。俺のような外野の人間からは、そこにこそJUDAS PRIESTが目指す「FAITH」があるような気がしてならない。

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