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Still Life / OPETH
mokusatu ★★ (2006-07-31 03:09:00)
前作で方向性を固めたのだろうが、一体どんな現象が発生すればこんなにクオリティが上がるのか?
細やかにして病的、歪にして精緻極まるアレンジの楽曲群が問答無用の説得力でストーリーを描く、3rd時と違う意味でとても同じバンドと思えない99年発表の4thアルバム。前作が鬼のような存在感だとしたら、今作は鬼神です。神の領域です。
とにかくアレンジの精密さが桁外れに向上している・・・いや表現が生温い、完全に次元が違っている。前作の中核にあったのは単に獰猛なデス・メタル・リフだったが、今作はヘヴィ・メタルを一足飛びに越えてプログレ的ヘヴィ・リフというか、なんか独自の歪み方をした異形のリフである。これがまた緻密で複雑なのに、そこから何の違和感もなくいつのまにかやたら哀愁のある儚いパートに移行しているのである。御免なさい・・・いや、何か意味もなく謝りたくなってしまった。
で、そんな展開ばっかで8分とか10分とかの物語を描いてしまうのだが、さらにそんな曲ばっか7曲もあるわけで、聴き終わる頃には現世を離れて幽体離脱する事必至である。
とここまで考えて、何気にこのバンドのやりたい事というのは1stから変わってないのだなと思った。ファンタジーでもないスプラッタでもないサタニズムでもない、他のバンドのどれとも違う、憂愁と絶望が支配する異世界の表現。それが一線級の音楽性を持ったわけだからそりゃあ恐いもんなしである。99年の作品とはいえぶったまげました。
後期EMPEROR同様、本質的な意味でのプログレッシブ・デス・メタルであると思う(EMPERORはブラック・メタルだが)。
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