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Slaves and Masters / DEEP PURPLE
殺戮の聖典 ★★ (2009-01-14 01:02:00)
前作「THE HOUSE OF BLUE LIGHT」発表後、二度目の脱退をなしたイアン・ギランの後任に元RAINBOW~YNGWIE MALMSTEEN'S RISING FORCEのジョー・リン・ターナーを迎え、レコード会社も移籍して制作された'90年発表作。
メンバー5人のうち3人が元RAINBOW組ということで「DEEP RAINBOW」等とも揶揄されもした。
楽曲のパンチ力に欠けていた前作に比べ、幾分バラエティに富んだ楽曲が並んではいるものの、その音楽性は再結成後の路線から大きく変化してはいない。
そのため、ジョー在籍時のRAINBOW最後のアルバム「BENT OUT OF SHAPE」の続編のようなキャッチーな楽曲の詰まった作品を期待していたファンにとっては若干肩透かしを喰ったかもしれない。
そのジョーの歌唱は相変わらずソウルフルで素晴らしいが、やや枯れた声質となったことでかつての艶が失われているのが気になる。
終始大人しめのドラム・プレイも、後にリッチーから「実はドラム・マシーンを使用していた」との仰天告白がなされている。
重厚な香り漂うリーダー・トラックの「KING OF DREAMS」、ジョンのオルガン・ソロが大活躍する「THE CUT RUNS DEEP」、名曲「LAZY」を彷彿させるシャッフル・ナンバー「FIRE IN THE BASEMENT」、ジョーのソウルフルな歌唱が素晴らしい「TRUTH HURTS」、ポップなキーボード・リフの「BREAKFAST IN BED」、厳かなムード漂う「FORTUNETELLER」、元FORIGNERのアル・グリーンウッドとの共作曲「TOO MUCH IS NOT ENOUGH」といった楽曲はいずれも良いし、個人的にはリッチーの泣きのギターが炸裂する「LOVE CONQUERS ALL」とアルバムにおいて最もアグレッシヴな「WICKED WAYS」が気に入っているが、やや落ち着きすぎとのきらいはある。
クラシック・レコードのようにレコード盤に針を落としてじっくりと聴きたくなるようなアルバムだ。

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