この曲を聴け! 

JUDAS PRIEST
YOSI ★★ (2002-10-15 21:02:00)
「オリジナル」に対する思い入れの強さというのは良く分かります。なぜなら僕もそうだから。ただ僕のいうオリジナルというのはm.c.A.K. さんののいうものとはちょっと違います。つまり自分がリアルタイムで体験したものこそが自分にとっての「オリジナル」というわけです。若いファンの意見として聞いてください。つまり僕がPRIESTを知ったときはすでにロブはいなくバンドは活動停止状態。僕にとっては復活前までにはPRIESTに対する思い入れはさほど強くありませんでした。過去の偉大なバンド、数多くの名作、名曲を残したバンドでHM界に多大な功績を残したバンドであることは認識していても、真に自分にとっての「リアル」なバンドではなかったわけです。ただ、それが新Voをいれて帰ってきて初めて僕は彼らの本当のファンになりました。生でみたPRIESTはリッパ-のPRIESTであり、もう絶対観れないんだろうなと思われた彼らの勇姿を見ることが出来たのはひとえにRIPPERのおかげ。だから僕にとってはRIPPERのいる「現行PRIEST」を強く支持するわけです。そしてなぜ僕がロブに戻ってきて欲しくないか?正直ロブはその原因がどうあれ、絶対にバンドを脱退すべきでなかった。その罪が誰にあるのかを論議するのは無意味ですが、彼の脱退はファンに対する裏切りと背信です。ロブの責任だけではなく脱退させてしまったバンドの過ちでもあります。そして今RIPPERを切ることはその過ちを繰返すことでもあります。つまり、僕すら最初はロブ以外のVoに懐疑的だった。RIPPERの実力を知るまではロブを戻せと思いつづけてきた。しかしインタヴューを読み、新しい音と新Voの実力を聴き、バンドの並々ならぬ決意を知り、僕も新しい彼らについていこう、前任者との比較による風当たりの強い中、自分の役目を懸命に果たすRIPPERを、それをサポートするバンドを徹底支持しようと決めました。そういう「新しいPRIESTファン」だって世界中に結構いるはす。そういう新しいファンにとっては、バンド復活の功労者であるRIPPERの解雇は新たなファンへの裏切りだと感じてしまうのです。ロブの脱退はPRIESTの歴史における唯一のファンへの背信行為です。もう一度いいますがもはやロブへもバンド側へもそれを糾弾することはしません。ただ、2度目の裏切りだけはやめてくれ。オールドファンの方々と、オリジナルのPRIESTは長年の間幸せで密接な関係を築いてきました。それと同じような新たな絆を僕のような新しいファンと新しいバンドとRIPPERのいるPRIESTとの間に築かせてくれ!そのための時間をくれ!というのが僕の切実な願いです。正直ロブのいたかつてのPRIESTだって数々の問題作を生み出し、長い歴史の間には数々の糾弾を受け、ファン離れも引き起こした。だけどそれを打ち破り、再びファンをバンドに引き戻すような作品を生み出すことによって彼らは何度でも蘇った。今だって同じだ。今のPRIESTがかつてに劣らない素晴らしいバンドで、音楽的創造性においては何も失っていないどころかますますレベルが上がっていることを証明する時間をくれと思うわけです。僕にいわせればPRIESTの最高傑作はまだ発表されていない。PRIESTはつねに「これから」のバンドなのです。僕が熱狂的なファンの耳で聴いてもPRIESTには「完璧なアルバム」というものはほとんどない。実は名作と呼ばれるどのアルバムにおいても「隙」とか「無駄」とか「詰めの甘さ」とかいうものが存在しており、しかし逆にいえばその「隙」が将来における「可能性」となり、未来の名曲を生む糧だったのです。それがPRIESTが実験的なバンドであり、完成度のみにこだわった最高傑作を生まず、常に自分や他のバンドに対する「HMの可能性」を提示してきたということだと僕は考えます。その視点からするなら「PAINKILLER」は確かに例外的な唯一の「捨て曲のない完璧な作品」であり、多くのファンの圧倒的な支持を生むと同時に、もはやバンドとしてこれ以上発展する余地のない「バンドの最期」を予感させるアルバムだったと今では思えます。つまりファンがどう望もうが、あの方向性であれ以上のものはつくれっこない。想像してみてください。「PAINKILLER」と同じ方向性でしかも二番煎じではなく、それを越える作品。作れるというなら誰か作ってみてください。バンドにだってそう思えたはずだから、その後のバンドの活動休止期間が生まれ、ロブもグレンも最高到達点のさらにその向こう、限界点の先を知るべくソロ活動を始めた。あれはバンドにとっての勉強期間だったのでしょう。ソロ活動により他のミュージシャン、若いバンドの感性に触れ、新たなバンドの方向性を見つけ出したいがための勉強のはずが結果としてロブぼ脱退を招いた。なんて皮肉な・・・。
ここから先は純粋な僕の想像です。PRIESTにおけるメンバーのソロ活動は別にタブーではなく、ロブがソロをやりたいからバンドを脱退した(追い出された?)わけでは多分ない。なぜならほぼ同時期にグレンもソロ活動を開始しているから。おそらくどちらも、このまま新しい作品を作っても過去の名作、特に「PAINKILLER」は越えれない。過去を越えれなければ存続する意味がない。過去を越えるために勉強時間とその場が必要だった。しかしその結果ロブはこのままPRIESTとして存続していても過去を越えれないと感じ、グレンはあくまでPRIESTとして過去の栄光を乗り越えたいと願った。そこが明暗の分かれ目だったのでは?
だからもう過去のPRIESTは一度死んだ。ロブが一度だってPRIESTの可能性を疑った時点で「PRIESTのロブ」は死に、「ソロミュージシャンとしてのロブ」に生まれ変わった。そしてバンドは「RIPPERのいる別バンド」となった。これはもうどうしようもない現実です。昔のPRIESTの魂や能力を継承しているとはいえ、かつての栄光を完全に捨て去り、新たに一から築き上げる決意をバンドは堅めた。でもそれこそがPRIESTをPRIESTたらしめる「傷つくことを恐れず、独り前進して路を切り開く」というPRIEST魂であり、音や姿が変わってもバンドの本質は不変と僕が信じる根拠なのです。だからこそロブがバンドに戻るのはお互いに対して良くない。「後退と安定と過去の栄光の再現」を望んだ時こそ本当の意味でPRIESTは死ぬのです。PRIESTの過去の作品における伊藤正則さんの名解説を読み直して下さい。そこにあるのは常にバンドの前進を促す言葉のみ。「バンドが過去の再現を望むならの縁を切る!」とまで断言する伊藤さんの言葉こそがかつてのPRIESTの全てです。そして今も未来も変わらないと思うのです。
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