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Nostradamus / NIKOLO KOTZEV'S NOSTRADAMUS
火薬バカ一代 ★★ (2008-07-08 22:34:00)
JUDAS PRIEST渾身のロック・オペラ大作『NOSTRADAMUS』を聴いていて思い出したのが、BALTIMORE、BRAZEN ABOT等での
活動で知られるフィンランド領オーランド島出身のギタリスト、ニコロ・コツェフが'99年にリリースしたこのアルバムのこと。
ノストラダムスの波乱に満ちた生涯をテーマに取り上げた、2枚組、100分に及ぶ大ボリュームからなるコンセプト・アルバム・・・と、
何かと共通点の多い両作品ながら、ヘヴィ・メタルという様式と、バンド・サウンドに強い拘りの感じられた
JP版『NOSTRADAMUS』に対し、こちらは、優雅で華麗な正統派HRサウンドを基本としつつ、より幅広いタイプの楽曲が
揃えられていて、多数のゲスト・ミュージシャンが参加した「プロジェクト」色が強く打ち出されているのがその特徴か。
また、壮麗な聖歌隊や、オーケストレーションを大胆に導入した、シンフォニック且つクラシカルなアプローチっぷりも、
流石、北欧のミュージシャンの手による作品といった感じ。
いや、それにしても驚くべきはニコロ・コツェフの才能の豊かさで、腕の良いギタリスト兼ソングライターだとは知っていたが、
ここまでプロデューサー的才能にも溢れた人物だったとは思わなんだ。グレン・ヒューズ、ジョー・リン・ターナーを筆頭に、
豪華なゲスト陣を集め、且つ、それらを適材適所に配置して見事に使いこなす手腕には、ただただ感心。
トータルの完成度で聴き手を圧倒する作品ゆえ、突出した名曲こそ収録されていないものの、その分、各収録曲の
平均クオリティは極めて高く、全編これ捨て曲なし。参加ミュージシャン達も全員が良い仕事をしてくれているが、
やはり抜きん出ているのはグレン・ヒューズの歌の上手さで、彼の歌う楽曲は、その何れもが本編のハイライトと呼ぶに相応しい、
素晴しい完成度を誇っている。(個人的なお気に入りは、劇的なDISC-1の②、ソウルフルなVoが感動を呼ぶDISC-2の③かな)
スケールの大きさと深みを兼ね備えた、「本物」のロック・オペラ・アルバム。JPのアルバムと聴き比べてみるのも一興かと。

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