この曲を聴け! 

Vapor Trails / RUSH
ご意見番 ★★ (2005-05-15 00:51:00)
6年も待たされただけあって、このアルバムに耳を通した時の衝撃と感慨深さは、格別だった。
冒頭のニールのドラムスに、不幸を乗り越えたことを意味する「復活宣言」がこめられている
と、勝手に解釈しては、何度も何度もCDを聴き直した。しかも製作中に「9・11」の米国
同時多発テロが勃発、それに影響を受けた曲も盛り込まれているという。そして何より嬉しい
と感じたのは、各種音楽雑誌の紙面を、普段なかなか取り上げられることがない彼らの記事が
賑わせたことだった。
内容としては、過去の作品どうこうと言う議論を寄せつけない、全く新しいアプローチが感じ
られる。特に本作で最も輝いているのは、実はアレックスのギターであると断言できる。以前
キーボードで埋めていた空間まで、全てギターで埋め尽くしている。寸分のスキ間もない程だ。
確かにHM然とした弾き方ではないし、ソロもほとんど出てこない。ある意味直近(と言って
も6年以上も昔だが)の作品に通じる雰囲気もあるが、それは似て非なるものなのだ。
ニールとゲディの超技巧的なリズム隊に支配されがちだったアレックスが、全曲を通してこれ
程目立った作品があっただろうか?洪水のように降り注ぐリフまたリフが曲に陰翳を加える。
これまた不思議なことに、この6年間で最もルックスが老け込んだのもアレックスときてる!!
ソロ活動も含め、黙々とギターのセンスとワザを磨いていたのだろうか?大昔はカッコ良かった
んだけどね(失礼!)。
ラッシュの面白さは、やってる音楽の色彩が作品を出す度に違っているところだと拙者は思う。
「ムービング・ピクチャーズ」と本作を比較したら、もはや全くの「別物」であろう。過去を
振り返らない(過去の栄光に妥協しない)ところが、音楽通が認める崇高なバンドたる所以で
あると、拙者はまた勝手に解釈している。だからこそ一部のファンが、いつまで経っても彼ら
のことを「プログレ」の枠にはめて語ろうとすることはチャンチャラおかしい。漸次変化型元
大作志向バンド...、ってことは、音楽ジャンルではなく、本来の意味で「プログレッシヴ」
なのかもしれないぞっと...。とにかく、また出会えて良かった。
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