この曲を聴け! 

Century Child / NIGHTWISH
29 ★★ (2002-06-30 02:49:00)
「大人になった」「落ち着いた」という評価は、誉め言葉にもなるし、その逆である場合もある。彼らの場合はどっちだろうか…?
2nd「OCEANBORN」は個人的にほぼ理想に近い音楽性でした。クラシカルさ、シンフォニックさ、ダークでミステリアスな曲調、素晴らしいとしか言い様の無いターヤのソプラノVoが、見事に高い次元のHM的な緊張感のなかで結びついていました。3rdの「WISHMASTAER」も同様の路線で彼らの実力を再確認させてくれました。そして4thにあたるこの「CENTURY CHILD」ですが、基本的な路線は変わらずですが、いくつか変化はあります。まず一つは、歌唱力抜群のBプレイヤーマルコ・ヒエタラの加入。これまでの中途半端なデス声でなく、正統派である意味男声オペラティックでもあるマルコにVoパートを振り分けることにより、楽曲の幅がかなり広がったと思います。ただ、マルコのVoってもっと野太いディオ系の歌唱だと思ってたけどちょっと違ってた…。そしてもう一つはターヤのVoの表現法に以前よりも表情が出てきたこと。ソプラノ一本槍の歌唱から、緩急織り交ぜた歌唱を交えることにより、楽曲の表情がより明確になってきたと思います。
2nd~3rd、3rd~4thへと作を重ねる毎に少しずつ作風をマイルドにしていってますが、2ndと4thを比べると差は歴然です。2ndの頃にあった、ピーンと張り詰めたHM的な緊張感の高さは姿を消し、ミドルテンポ中心のより“聴かせる"タイプの楽曲が多くなっています。中には⑨“オペラ座の怪人"のようなミュージカルとも言える曲もあり、より幅広い層に受け入れられる音楽性になってきたと思います。個人的にはこの音楽性だけでオールOKなんですが、もっと攻撃的で畳み掛けるような曲が何曲か欲しかった気はしますね。
このアルバムに伴うツアー後しばらく活動を休止するそうですが、その休止期間が彼らに与える影響がこれ以上“落ち着く"方向でないことを期待します。
“大人のNIGHTWISH"、とくとご賞味あれ。

→同意