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Stiff Upper Lip / AC/DC
いおっみ ★★ (2004-02-16 19:23:00)
ジョージ・ヤングによる素晴らしく生々しいサウンドで、豊かなグルーヴに満ち満ちた1枚。
彼らならではの旨味がこれでもかと凝縮され、AC/DCが好きで好きでたまらないコアなファンには至極の音空間が溢れる。
だがその一方、あまりにも地味で緊張感が薄く、単調でもある。
「ただのかったるいアルバム」で片づける人がいても驚かない作風だ。
耳を惹きつける仕掛けに乏しい曲の完成度は正直かなり低いが、キッチリとアレンジし尽くされた曲だったらここまでリズムが映えない。
「淡泊だからこそ濃密」
この味をどう感じるかで駄作、凡作、佳作、傑作、名作、それこそ『BACK IN BLACK』すら比較にならない最高傑作とさえなり得る。
良し悪しを超えた所で愛情を刺激するプライベートな雰囲気のアルバムだ。
ある意味非常にマニアックでもあるので、他の諸作でAC/DCの世界に浸ってから触れることをお薦めする。

なお、アルバム未収録のCyberspaceなる曲も同時に録音され、「TOUR EDITION」なる2CD仕様や来日記念ミニ、Safe In New York Cityの輸入盤シングル等で聴くことができる。
エネルギッシュなアップテンポ・ナンバーでアルバム本編とは作風が異なるために外されたのは想像に難くないが、聞き逃すには惜しい充実の1曲だ。
特にこのアルバムが「地味」で終わってしまった人にはピンとくるものがあるだろう。
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