この曲を聴け! 

Mr. Moonlight / FOREIGNER
火薬バカ一代 ★★★ (2008-04-18 23:49:00)
6th『INSIDE INFORMATION』を最後に袂を分かっていた、ルー・グラム(Vo)とミック・ジョーンズ(G)がヨリを戻し、FOREIGNER復活を賭けて'94年に発表した8thアルバム。
結果を先に述べてしまうなら、本作はビルボードの100位以内に入ることすら叶わぬままフェードアウト(最高位は123位)。グランジ旋風吹き荒れるミュージック・シーンの逆風をもろに食らって、期待されたようなビッグ・セールスを記録できなかった。そのため評論家筋からは「失敗作」の烙印を押される事の多い1枚だが、いやいや、なかなかどうして。ことクオリティに関しては、全盛期の名盤群と比較したって、決して引けを取らない見事な内容を誇る。(・・・ように思う)
繊細且つ、叙情的なメロディに彩られた収録曲の数々は、これぞFOREIGNER!との魅力に満ち溢れた仕上がりで、特に、ドラマティックな盛り上がりっぷりが堪らない⑤をハイライトに、美しいGのイントロからスタートする爽やかでキャッチーな①、ルー・グラムの艶やかなVoが映える②、ハートフルなバラード③、ポップで心地良い④、雄大なスケールを感じさせる⑥と、次々にハイクオリティな楽曲が繰り出される、アルバム前半の素晴しさと来たら、メロディ愛好派には涙モノ。
それ以降も、ラストをハードに締め括る日本盤のみのボーナス・トラック⑫まで、捨て曲らしきものは見当たらず(⑦のみ、ちょっと地味かな)、また、これらの楽曲を更なる高みへと引き上げているのが、ソウルフルでセクシーなルー・グラムの絶品のVo。中期~後期MAGNUMに通じる気品と劇的さを兼ね備えた⑤や、エモーショナル極まりない熱唱が胸を締め付ける⑪なんて辛抱堪らんものありますよ。
本作以降、ルー・グラムが脳腫瘍を患ってしまったり、再度バンドから離脱したりと色々あって、新作を発表していないFOREIGNERだけど、懐メロ・バンドに落ち着く前に、もう1枚ぐらいニュー・アルバムを作ってくれないものかなぁ。

→同意