この曲を聴け! 

Three / ARMAGEDDON
H・W ★★ (2002-08-11 22:04:00)
「HMの達人」アモット兄弟の弟、クリストファー・アモットによるプロジェクトのサード。
アーク・エネミーは正統派HMとデス要素による陰影がものの見事に決まっているが、彼らの「正統派要素」を純粋培養したものを聴いてみたい、というのはファン心理として当然。
そういう意味では兄のスピリチュアル・ベガーズよりもずっと日本のファンに受けるだろう。
彼ら最大の持ち味、ギタープレイに関しては、兄、マイケルが「一音必殺」の激情タイプであるのに対して、弟さんのほうはもう少し流麗。ソロ全体の雰囲気で勝負するタイプだ。どちらにせよ、尋常でない叙情性がある、HM界の得がたい財産である。

このサードアルバムはクリストファーがリードヴォーカルを兼ねているが、心配無用、上手い上手い。深みのある声質も抜群にカッコよく、カイ・ハンセンなんぞとは比較にならない。
ただ、全体を通して、曲のハイライトとなる彼のソロが、少しコンパクトにまとまりすぎている感じがした。
もちろんこれは、「もっと聴きたいのに」と思うあたりで退くほうが効果的、という計算に基づいて意識的になされた、確信犯的構成だとおもうが、ここまでコンパクトだと、「もっと聴きたいのにいい」と半分笑い顔で駄々をこねるというより、「おい、なんだ、これだけかよ!」という苦情を訴えたくなってしまう。
おいしいものを少しだけ、という精神には賛同するが、いくらなんでもこのトンカツはボリューム不足じゃないか、というわけだ。
しかし、それというのも、彼の紡ぎだす音の魅力が、他の追随を許さないほどの絶品であるということの証明。
このアルバムは買いである。

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