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King of the Kill / ANNIHILATOR
火薬バカ一代 ★★ (2006-08-02 21:44:00)
ジェフ・ウォーターズ率いる技巧派スラッシュ・メタル・バンド、'94年発表の4thアルバム・・・と同時に、
裏ジャケにジェフ1人しか写っていない事からも明らかな通り、なかなか安定しないバンドのラインナップに業を煮やした彼が、
遂に開き直って自らVoも担当、ANNIHILATORのソロ・プロジェクト化を宣言した最初の作品でもある。
前作の(日本でのみ好評を得た)メロディ重視路線から、若干、アグレッシブ方向へ軌道修正が図られている感じで、
ジェフの荒々しい歌唱スタイルと相俟って、かなりヘヴィな印象を受けるかもしれないが、実際に聴き込んでみると、
疾走チューンあり、バラードあり、穏やかなイントロから一転、ドラマチックな盛り上がりを見せる曲あり・・・と、
これまでの作風と大差はない事に気付く。寧ろ、コンパクトに練り上げられた楽曲が次々に繰り出される様は爽快ですらある。
中でも、バンド名をタイトルに冠した③“ANNIHILATOR"は、シンプルなミッド・チューンながら、
キャッチーで歯切れの良い、弾けるような躍動感溢れる演奏がクセになる気持ち良さ。聴いてるだけで勝手に体が動き出します。
・・・と、かなり充実した内容にも関わらず、どうも過小評価に甘んじている気がする本作(来日公演の客入りもイマイチだったし)。
その原因の1つはやはりジェフのVoだろうが、歴代シンガーに比べ声域の狭さは如何ともし難いものの、
別に音痴ではないし、優しさの滲むバラード⑤“ONLY BE LONELY"における表現力など立派なものだ。
それより問題なのは、アルバムのOPを飾るANNIHILATOR屈指の駄曲①“THE BOX"の存在ではなかろうか。
素直にスピーディな名曲②“KING OF THE KILL"辺りで始めていれば、アルバム全体の印象も、もう少し向上したと思うのだが・・・。

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