この曲を聴け!
Attack!! / YNGWIE MALMSTEEN
29 ★★ (2002-09-09 01:25:00)
色んなサイトのレビューを読む限り、賛否両論(どちらかといえば“否"の方が多い)な1枚。個人的には“賛"である。
「楽曲がマンネリ」「Gプレイが使いまわし」「抜きん出た曲が無い」大方の否定的な意見はこんなところだろうか。むむ…確かにその通り。じゃあ皆はイングウェイに何を期待しているのだろう?どんなアルバムを出せば満足するのだろう?
個人的に彼に求めるのは「様式美に満ち溢れた“歌モノ"HM」である。そういった意味では「ODYSSEY」「TRILOGY」「ECLIPSE」は、それぞれVoは異なるものの、非常に魅力的で理想的なアルバムである。「SEVENTH SIGN」(これは楽曲は素晴らしいものの、個人的にはマイク・ヴェセーラのVoが生理的にダメなので評価は少し下がる)以降の作品はどんどん一人よがりになり、せっかく素晴らしいメンバーがいても飼い殺し状態で全く生かせてなかった。前作に至ってはあまりにお粗末なプロダクションで聴く気にもなれなかったほどだ。マッツ・レヴィン、マーク・ボールズら素晴らしいVoがいたのに、彼らに相応しい歌メロを提供出来なかったことが原因であろう。だが今作参加のドゥギー・ホワイトは非常に器用なVoで、そんなイングウェイの歌メロに見事に対応して楽曲を生かしているのである。個人的に一番評価しているのは、楽曲の質、Gプレイはさておき、イングウェイが「歌モノHM」として評価することの出来る作品を出してくれたことである。ここ何年かの作品では最も歌が残るし、そしてドゥギーのVoも予想より遥かに良かった。それだけで個人的にはこの作品は“賛"なのである。
もちろん全面的に好評価なわけではない。デレク・シェレニアンは相変わらず全くの飼い殺しだし、確かに傑出した曲もない。①はアルバムの冒頭に持ってくるくらいなら収録しなくても良かったような曲だし、大体16曲なんて多すぎる。そんなありあまる不満を抑えきるほど、ドゥギーのVoを評価します。
上のかわちさん同様、イングウェイはこの路線を続けてくれる限りは買い続けるつもりだけど、さすがに前作みたいな作品を続けて出されたらサヨナラするしかないかな、と思っていた。本作はそんな気持ちを吹き飛ばし、次をまた期待させる意味では十分に評価出来る作品である。
弱点やアラを探すばかりでなく、いいところを見つけてあげるとそこから成長するパターンもあります。暖かい目で見守りましょう。
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